録音した会話の文字起こしでわかること
「トランスクリプト(transcript)」という言葉をご存知でしょうか。録音した会話を文字にしたもののことです。自分の会話のトランスクリプトを作ることは、英語学習のためにとても有効です。
文字起こしをやってみると、会話中は何となくわかっていたつもりだったのに、実はよくわかっていなかった、というようなことが起こります。文字にしたことで同音異義語による勘違いに気づき、それをきっかけに話の内容が一挙にわかった、なんてこともあるのです。
文字起こしでは、自分の発言も「こう言ったつもり」ではなく、実際に聞こえるままに文字にします。何度聞いても聞き取れないところは、英語が得意な人など、ほかの人の耳を借りましょう。コーチングでは聞き取れない部分の単語数をカッコでお知らせしたり、最初の1文字を教えるなどヒントを与え、穴埋め形式で聞き取り能力が1段階アップするよう指導しています。〝言われてみれば納得〟、いったん聞こえるようになると「なぜ今まで聞こえなかったのだろう」と不思議になるほどです。
文字起こし中に聞き取れない理由は、おそらく以下のどれかです。
(1)雑音など、録音状態の問題(2)不明瞭な発音、早口など、相手の問題(3)発音の仕方に勘違いがある(4)意味のわからない単語が使われている(5)文法が理解できていない(6)前後の文脈を見失っている
(1)と(2)の場合、あなたの英語力とは関係がありません。(3)~(6)は、英語学習のうち、それぞれ別の分野のスキルの問題です。このように、「なぜ聞き取れなかったか」を明確にしてから「ではどうするか」と対策を考えると、学習を効率よく進めることができます。(第7回からは毎月第1木曜日にwww.nybiz.testでのみご覧になれます)
〈筆者プロフィル〉 神谷えみ(かみや えみ) 国際コーチ連盟認定言語コーチ。英語教育学修士、コミュニケーション学修士。博士課程在学中。専門は第二言語習得、異文化間コミュニケーション、会話分析。英語学習法「コーチング・メソッド」開発。Kamiya English Coaching主宰。【ウェブ】englishcoaching.jp