人民元、米国債の動きに警戒
中国はこれまで1%だった対ドル(注)での相場許容為替変動幅を2%に広げ、為替相場に対する規制を緩和しました。これにより人民元の対ドル相場は1年ぶりの安値に下落しています。
1月のアルゼンチン・ショック、3月のウクライナ・ショックの影響で、世界の金融市場は今年に入り大きく変動していますが、米国の金利上昇懸念も強くなっており、世界の資金のドル回帰がより鮮明となっています。
中国は、3月に開催した全国人民代表大会(年1回開かれ、日本の国会に相当)において7・5%の経済成長率を目標としましたが、今年に入っても肝心の経済成長が思わしくなく、政府としても輸出を手助けするために人民元安に誘導する必要があるのでしょう。さらに中国の李克強首相は、現在問題になっている金融商品のデフォルトに対しても「一部は避けられない」と発言しており、不動産バブル崩壊懸念に注目が集まる中で、中国発の金融不安のリスクが引き続き懸念されています。
中国政府は、預金金利の自由化、為替介入を減らすことによる為替相場への規制緩和など、人民元の自由化、国際化を引き続き推進していくとしていますが、これまでの人民元の投機に対する反落も相まって、結果的に人民元下落の傾向が強まっています。
また、ウクライナ紛争の影響でFRB(米連邦準備制度理事会)に保管されている外国中央銀行保有の米国債の残高が激減しています。これは経済制裁を恐れたロシアが米国内から国外に米国債を移したものとみられています。万が一の制裁への対抗措置としてロシアが保有する米国債を叩き売るような事態になれば米国債の暴落の可能性も出てくるため、世界最大の米国債保有者国である中国、2位の日本にも影響がでてきます。今のところ、米国債の動きは堅調ですが、注意が必要でしょう。(注)ある通貨の米ドルに対する通貨レートのこと
(次回は5月第2週号掲載)
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