〈コラム〉Dr. Clara Lee「歯のおはなし」19回

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Poor Kenny’s Tooth

哀れなケニーの歯

昨夜、友人から涙交じりで切迫した様子の電話がかかってきました。いきなり「もう、離婚よ!」と宣言。20年も連れ添った夫婦なのにただ事じゃありません。一体何が起こったのでしょう?
◇  ◇  ◇
友人である妻が仕事を終え8時ごろ帰宅してみると、11歳になる息子がスケートボードで転倒し前歯1本が完全に抜けたと、夫が濡れたペーパータオルで包んだ歯を見せたそう。行きつけの歯医者に電話をしたら留守電で、急患用の番号も分からなかった。だから抜けた歯を取りあえず濡れたペーパータオルに包み妻の帰りを待っていたとか。事故は午後3時ごろ起き、大丈夫という息子の言葉をうのみにして、この時間まで放置しておいた夫に友人は怒りが治まりません。事故から5時間以上は経過しているので、抜けた歯を再植させるのは難しいでしょう。哀れなケニー…。このような事態を防ぐために、子供たちがスポーツする際にはマウスガードの装着をお勧めします。万が一、歯が完全脱臼するような事態になった場合は以下のように処置してください。
(1)抜けた歯を捜す 広場、運動場、体育館などで事故が起きた場合、意外とすぐには見つからない場合があります。パニックにならず落ち着いて捜してください。
(2)抜けた歯が見つかったら 歯冠だけを持ち、絶対に歯根は持たないでください。再植の大きな役割になる歯根膜の細胞は繊細でまだ生きようとしています。それからきれいな水で、決してブラシでこすらないようにしてやさしく洗いましょう。もし可能なら、その歯を抜けた元の位置にそっと差し込んでください。歯の向きを間違わないように差し込んだら、そのまま指で固定しながら歯医者に直行です。もし歯を元の位置に戻すことができなければ、牛乳の中につけるか、口の中に入れて歯根膜が乾燥しないようにして持参してください。
◇  ◇  ◇
事故後の迅速な処置が抜けた歯をまた元の位置に再植させる可能性を高めます。
そして離婚の危機も免れるかもしれません!(次回は5月12日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年4月14日号掲載)
〈プロフィル〉Dr. Clara Lee ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデンス修了。13年以上に及ぶ臨床経験は一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care院長として古山医師と共に、多くの日本人患者さんを治療。Dentistryをこよなく愛している。記事提供:Waterside dental Care(Tel:212-683-6260)

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