〈コラム〉Dr. Clara Lee「歯のおはなし」21回

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My husband is afraid of me !

歯科医の夫でも歯科治療は怖い

先日ネットで取り上げられた事件は、女性歯科医が元彼氏の歯を全部抜いたというショッキングなニュースでした。その元彼氏は激しい歯痛で歯科医である元彼女に治療を求めました。彼女は鎮静薬で意識を低下させ、麻酔をしっかりと打ち、彼に気付かれることなく全部の歯の抜歯をしたと言うのです。同じ歯科医として信じられない行為。開いた口が塞がりませんでした。
しかし、このニュースはすぐに、まったくのでまかせだとわかり、胸をなで下ろしました。そして、私はある事を思い出したのです。それは私の夫。私が初めて彼の歯を治療しようとした時にこう言ったのです。
「今まで怒らせる事をしてすまなかった。自分が気付かないところで君を怒らせていたかもしれないね。それも謝まりたい。将来、君をまた怒らすようなことをするかもしれない。今のうちにそれも謝りたい」と神妙に言うのでした。
高校時代からの友人でもある夫とは揺るぎない信頼関係があると思っていたのに、彼は歯科医の私がわざと痛みを与え復讐するとでも思ったのでしょうか!
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多くの患者さんは歯科治療に程度はさまざまですが恐怖心があるようです。
セデーション治療は歯科治療の精神的緊張を、薬物(鎮静薬)服用によって緩和(リラックス)する方法で、精神的緊張のみならず、筋肉の緊張の緩和により長時間治療が可能になり、嘔吐(おうと)反射の抑制、完全に眠った状態にはならないので会話もできますが、治療中の不快感を覚えていない(健忘)作用などもあり、ストレス緩和に有効です。
歯科治療に対する恐怖で歯医者に行くのを躊躇(ちゅうちょ)される方々には、セデーション治療の選択も考慮して、歯医者に相談してみてください。
歯医者だって、患者さんが恐怖で緊張されるのを見るのはつらいのです。たとえ、私を怒らす夫でも! (次回は7月21日号掲載)
(「WEEKLY Biz」2012年6月9日号掲載)

〈プロフィル〉Dr. Clara Lee ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデンス修了。13年以上に及ぶ臨床経験は一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care院長として古山医師と共に、多くの日本人患者さんを治療。Dentistryをこよなく愛している。記事提供:Waterside dental Care(Tel:212-683-6260)

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