日本的ではない態度やマナーの子ども
補習校や習い事、そして家庭での教育が重要
アメリカ生活が長くなることで子供に見られる変化は、日本語力が伸び悩むということだけではありません。親も気づかないうちに、日本にいた時や日本の子供たちとは異なる態度が見られることがあります。例えば、授業中でも足を組んだり、ひざを立てたり、斜め前を向いたりして座っているのを目にすることがあります。また、食事中にひじをついたり、茶碗を持たないで食べる姿を見掛けることもあります。
これらは日本との生活風習の違いが影響しています。アメリカの学校では日本とは異なり、授業中に座っている姿勢まで細かく指導することはありませんし、アメリカでは食器を持って食べる習慣もありません。従って、先述した態度についても良くないことだと感じていないのです。また、目上の人と会った時に、頭を下げないことも気になります。目上とか目下とか関係なく、握手をしたり手を上げたりして挨拶をすることはあっても、頭を下げる習慣のないお国柄なので、子供には何の悪気もないのです。
しかし、日本の学校を受験したり、日本の企業に就職したりする時はもちろん、海外でも日系人社会や日系企業の中でやっていく場合には、日本的な態度やマナーを知らないと苦労することになります。例えば、受験や就職の面接で正しいお辞儀ができなかったり、話をする姿勢が悪かったりしたために不合格となるようなことがあるかもしれません。食事中のマナー、人の話を聞くときの態度、目上の人への挨拶の仕方などは、大人になってから簡単に身に付けられるものではありません。子供の頃にしっかりと修得することが大切です。
そのためには、補習校で学ぶことが重要な役割を果たします。補習校は日本の学校での履修内容を日本語で学習する場ですが、同時に学校生活を通じて日本的な態度やマナー=日本の文化を修得する場でもあります。週1回ではありますが、正しい姿勢で授業を受けることや授業の前後に頭を下げて挨拶をするということなどを実践しています。また、柔道や剣道のような武道、茶道、華道など、礼儀作法を重要する稽古を通じて、日本的な態度やマナーを身に付けることもできます。海外にいるからこそ、このような習い事を体験することが必要です。
いずれにしても、日本的な態度やマナーは繰り返し実践することによって身に付くものです。大切なことは、家庭での子供の態度やマナーに気を配り、良くない場合には注意することです。そして、もっと大切なことは、親が見本を見せることでしょう。「親は子の鏡」と認識して行動するよう心掛けたいものですね。
(次回は2月26日号掲載)(「WEEKLY Biz」2011年1月29日号掲載)
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