日本の大学と米国の大学との違い
米国の大学に近づきつつある日本の大学の仕組み
日本人学校や補習校では新年度が始まりました。現地校では1◇2カ月ほどで今年度が終了します。この時期には高校を卒業する生徒の進路もほとんど決まっています。過半数が大学に進学しますが、米国には4000以上の大学があり、選択肢はかなり多いと言えます。また、日本人の場合には日本の大学という選択肢もあり、米国の大学に進学するのか、日本の大学に進学するのかで悩む場合もあります。特に滞米期間が長かったり、英語力がぐんと伸び米国の文化にすっかりなじんだりした場合には、米国の大学にも魅力を感じる傾向が見られます。
例えば、米国の大学では英語力にさらに磨きをかけられるという期待があります。また入学後に専攻を決定したり変更したりすることが自由にできるというメリットもあります。さらに、高校の成績やACT、SATという共通試験のスコアや課外活動の記録、エッセイなどの書類審査にて選考されるのも特長の一つです。ただし、将来日本で就職するということを考えると不安な面もあります。また、州立大でも学費が高いというのも問題です。
一方で、日本の大学に進学すると英語力の伸長は停滞するという心配があります。また日本の大学は受験時に学部・学科、場合によっては専攻まで決定する必要があり、入学後に変更することが難しい場合があります。そして多くの大学にて学科試験が課され、その点数にて合否が決まるため、高校卒業後に受験勉強をしなければなりません。試験の早い大学では9月に合否が決まりますが、遅い大学では2月下旬に試験がありますので受験勉強が続きます。9月に合格したとしても入学できるのは翌年4月なのです。
しかし、帰国生入試は特別入試であるため、日本の国内生の入試に比べれば門戸が広く、有名大学に入学できる可能性が高いという魅力があります。学科試験の科目も文系学部ならば小論文と英語のみという大学が多く、理系学部でも数学、理科、英語と小論文というように、日本の国内の受験生に比べれば格段に負担が軽くいのです。
また、一部ではありますが、米国の大学と同じように書類審査にて合否が決まり、秋に入学できるという大学もありますし、早稲田大や上智大の国際教養学部のように英語のみで授業の行われる大学・学部もあります。最近では、文科省のグローバル30というプロジェクトによって、英語で学位の取得できるプログラムやコースを設置する大学が増えていますし、東京大をはじめ秋入学移行を検討している大学も増加することが予想され、日本の大学も米国の大学と同じような仕組みとなる日が近づきそうです。
(次回は5月26日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年4月28日号掲載)
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