〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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日本語力を伸ばすための方法

日常的に日本語のシャワーを浴びせることが大切

米国の学校の長い夏休みが始まりました。親御さんは約3カ月にわたる長い夏休みをどのように過ごさせるか苦慮されたことでしょう。夏休みは日本語を学習している子どもにとって集中的に勉強できる最もよい時期です。日本にできるだけ長く滞在することができれば申し分ないのですが、米国にいながらでも日本語を使う時間を増やせれば効果が期待できます。米国に暮らす子どもが英語環境にいることで英語力が伸長することと同様に、日本語環境にいる時間が長ければ日本語力は伸びるのです。
日本に暮らしていれば、日本語を意識的に聞かせようとしなくても、日本語が自然に聞こえてきますし、頻繁に目にする文字も日本語です。子どもたちは日本語のシャワーを浴びているような状態に置かれます。否応なしに日本語が目や耳から飛び込んでくるのです。
日常的に日本語を学習しているものの、なかなか伸びが見られないとお困りの親御さんにとっては、このことが日本語力伸長のためのヒントになります。つまり、家庭内では徹底した日本語環境を作るということを心がけるとよいでしょう。日本語のテレビ番組を観るという方法もありますが、まず、親子間の会話はすべて日本語にすることが大切です。次に、両親が子どもの前で日本語でたくさん会話しましょう。両親の会話は子どもが理解できないような難しい話題でも構いません。子どもの知らない言葉のシャワーを浴びせることはボキャブラリーを増やすのに効果的なのです。
ただし、両親が日本語で会話するのは、母語がともに日本語でなければ難しいかもしれません。また、兄弟姉妹同士では自然に英語で会話してしまうということもあるでしょう。しかし、そのケースでも親子間の会話は日本語で行うことを徹底してください。つまり、両親の会話は英語であっても、子どもには日本語しか使わない、子どもにも日本語しか使わせないという強い態度が必要です。母親(または父親)と話すために日本語が必要なのだということを実感させることが重要なのです。そして、親子間の会話では、子どもの会話の文法的な誤りや発音の違いを訂正しましょう。親が理解できたからよしとしてそのままにしておくと、子どもは間違った日本語を覚えてしまいます。
また、家庭内に日本語の書籍や雑誌、新聞などを目に付くように置くことも必要です。難解であっても日本にいるのと同様に、日本語を見たり聞いたり読んだりできるという環境を作ることが大切なのです。
間もなく始まる米日教育交流協議会主催の「サマーキャンプ in ぎふ」は、まさに日本語と日本文化のシャワーを浴びせるプログラムです。その様子は追ってお知らせします。
(次回は7月28日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年6月23日号掲載)
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米日教育交流協議会のウェブサイトにて、当コラムのバックナンバーもお読みいただけます。
UJEEC Website: www.ujeec.org

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