海外に暮らす子どもの愛国心教育
日本の歴史と文化、日本人を愛する心を教えたい
日本はもとより世界中を悲しみに包んだ東日本大震災から2年が過ぎました。2年前はテレビもインターネットも大震災のニュースでいっぱいでしたが、最近では報道も少なくなっています。それとともに人々の記憶も薄れつつあるような気もします。
2年前のその日は、勤務するデトロイト補習校の卒業式の前日でした。卒業式は予定通り挙行されましたが、開式前に黙とうが捧げられました。生徒たちの衝撃も大きかったようで、募金集めやメッセージ作成などの動きが活発化し、それまでの生徒たちからは想像できなかったような言動に感動を覚えました。また、人を助けるために犠牲になった人々のこと、被災者が不便な避難生活の中でも助け合う様子などを知り、日本人の素晴らしさを教室内で語り合い、日本人であることを誇りに感じたりもしました。
私の教室では、その後も気になるニュースをテーマに語り合うことが続きました。昨年末のコネティカット州の小学校銃撃事件も生徒にとって衝撃的な事件でした。自分たちの暮らす街と同様に治安のよい地域の現地校が舞台になったことで、同じことが自分の身にも振りかぶるかもしれないと感じたようです。
そんな中で銃規制の問題にも関心が集まり、ディベートも行いました。そこでは銃規制に反対する意見も少数派ではありませんでした。校内に銃を携帯する自衛団を配置したり、先生が銃を教室で携帯する動きも出ていますが、それを容認する声も聞かれました。このように自衛のために銃を所有することは必要だという考えは、銃規制の厳しい日本で暮らしている子どもにはない在外子女特有のものだと思います。
身近に銃を所有する人がいることはもちろん、銃の所有や使用が認められている憲法を持つ国で教育を受けていることも影響しているでしょう。この国の愛国精神は、銃を持って戦って自由を勝ち取ったという歴史に基づいているからです。
前の安倍政権時代に改正した教育基本法に基づく学習指導要領により、日本の学校でも愛国心を養う教育がなされています。北米各地にある日本人学校や補習校の卒業式でも国旗が掲揚され、国歌「君が代」が斉唱されています。これは歓迎すべきことです。また、東日本大震災をはじめ、アルジェリア人質事件、ニュージーランド地震など、多数の日本人が犠牲になった事件も忘れることのないように心掛けることも大切です。海外に暮らしているからこそ、より意識して日本の歴史や文化、そして日本人を愛する心を教育すべきだと思います。
(次回は4月27日号掲載)(「WEEKLY Biz」2013年3月23日号掲載)
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