在外子女の高校卒業後の進路
日米両国の高等教育の経験を積み グローバルな世界で活躍してほしい
日本人学校や補習校では新年度を迎えて間もないのですが、現地校では年度末となっています。高校卒業生は大学に進学したり、就職したりと様々な道に進みます。日本人の高校生の多くは大学に進学しますが、米国の大学に進む者や日本の大学に進む者など様々です。ただし、米国の大学は米国市民や永住者または長期滞在者の子女でないと留学生扱いとなり、高額の学費が必要となりますので、企業駐在員や大学の研究者のような短期滞在者の子女は少ないのが実情です。また、州立大学でも他州の大学は学費が割高になりますので、州内の大学に進む者が多数です。
日本の大学の場合、ほとんどが翌春の入学を目指し、高校卒業後に帰国し、受験対策をします。9月に入試を行う大学もあり早期に進学先を決めることもできますが、難関国立大学は国内生と同じ2月下旬に実施されますので、進学先が決まるのは3月です。
一方、米国の大学と同様に秋入学の大学を選択する高校生も増えつつあります。これらの大学の多くは書類選考であり、米国にいる間に進学先が決められますし、高校卒業から大学入学までの期間が短く、時間的ロスがないというメリットもあります。また、秋入学には英語のみで講義が行われる大学も目立ちます。さらに近年、文部科学省のグローバル30というプロジェクトが推進されており、英語のみで講義が行われ学位が取得できるというコースが登場しています。これは留学生を含め海外の高校で学んだ学生を積極的に受け入れようという動きであり、在外子女の選択肢が増えました。日本の大学に入学するのだから日本語で受講した方がよいのではという考えもありますが、海外でせっかく身につけた英語力を維持して国際社会で活躍することを目指すのもよいと思います。
ところで、最近の日本の若者が内向き志向であると言われていますが、実際、米国への留学者はピーク時の半数です。英語に自信がないとか、異文化になじめそうもないという不安を抱える国内生に比べれば、帰国生は英語力もあり異文化も理解しています。帰国後に米国の大学に進学することも、ぜひ視野に入れてほしいと思います。とは言っても留学費用は結構高額です。日本の大学には留学する学生に学費の援助をするというような制度もありますし、安倍政権が留学のための奨学金の授与を検討しているという動きもありますので、ぜひ活用してほしいですね。逆に、米国の大学に進学した場合には、日本の大学や大学院に留学し、日米両国で高等教育の経験を積んで、グローバルな世界で活躍してほしいと思います。
(次回は6月22日号掲載)(「WEEKLY Biz」2013年5月25日号掲載)
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