変わらないもの

0

Harlem_column

トミー富田「ハーレム浅草下町考」Vol.38

0614-Tommy-photo-L

今年80周年を迎えるアポロシアターのマーキーは依然ハーレムのシンボル

6月10日、毎年恒例の「アポロ・スプリングGALA」が行われた。 今年はアポロシアター誕生80周年!ということで、グラディス・ナイト、スモーキ・ロビンソン、アイズレー・ブラザーズ、ナタリー・コール等、アポロシアターと特に縁の深い大御所アーティストが出演、次々と現れるサプライズゲストもアポロ80歳バースデーを盛り上げた。これは、アポロ・ファウンドレイズのための特別コンサート&パーティーで、これまでにもスティービー・ワンダー、サラ・ジェシカ・パーカー、アレサ・フランクリン、プリンス、マライア・キャリー他、多くの大物ゲストが駆けつけている。 1934年、ハーレム125丁目の“この場所”でスタートし、当時では珍しい「黒人アーティストがパフォーマンスする劇場」として、数々の世界的大スターを生んだ。80年間、変わらず毎週開催されているのが、私の大好きな「アマチュアナイトショー」である。 周りを見渡すと、15年以上空き地だったアポロシアター隣には、昨年11月、大きなピカピカの建物「レッド・ロブスター」ハーレム店がオープン、すぐ隣のブロックも、昨年秋、大きなショッピングモールに生まれ変わり、靴のDSW、NY初上陸のJoe’ Crab Shack等、話題の人気のチェーン店が軒並みだ。 その昔、ジェームス・ブラウンもハーレムに来ると立ち寄っていたというボビーさんのレコードショップや、平屋建てのヒップホップ洋品店ももうそこには無い。125丁目の名所のひとつ、ハーレムのピカソ「フランコのシャッターアート」も、あと数年で姿を消すことになる。 日々変わり行くハーレムにあって、80年変わらずに存在してくれているアポロシアター。この変化の時代に、「変わらないもの」に大きな安堵感を覚える。 (次回は8月第2週号掲載)

アポロシアターより間口が大きい隣のレッドロブスターは連日満員

アポロシアターより間口が大きい隣のレッドロブスターは連日満員

〈筆者プロフィル〉トミー富田(トミーとみた) 東京浅草生まれ。ニューヨーク・ハーレム在住23年の音楽プロデューサー。1994年にアジア人初の「Dr. マーティン・ルーサー・キングJr. アワード」を受賞。ハーレム商工会議所会員。アポロ劇場ボードメンバー。20年以上続けている大人気の「トミー富田のハーレムツアー」は、日本からのファン、リピーターが多いことでも有名。■トミー富田のハーレムツアー 電話:646・410・0786 ウェブ:tommytomita.com

〈過去の一覧〉

Share.