対話の力(1)
はじめまして。COACH Aの竹内です。私どもは、コーチングによるリーダー開発を軸に組織改革を支援し、ミッション実現のサポートを世界各地で行っています。このコラムでは、「対話」にまつわるお話をご紹介していきます。
私は、エグゼクティブコーチになる前、約20年間にわたり公認会計士として企業や経営者の皆様のサポートをさせていただいていました。東京、ダラス、ロサンゼルス、スタンフォード、ニューヨークなど、日米の各都市で外資系企業、日系企業も含め、インターナショナルでグローバルな組織を中心に担当していました。
その活動を通じて感じたことは、「外からグローバル企業に見える会社でも、その多くは基本的なコミュニケーション上の問題を抱えている」ということです。トップ同士といったキーパーソン間の関係がボトルネックとなっている事例が多々あるのです。
当初、そうした事象は大きな問題ではないと思っていました。しかし、ある経営者からこんなお話を伺いました。
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3つの会社を統合した時、旧出身母体間の交流が皆無だった。それは、通常業務にも影響が出るほどで、買収に投じた資金はどんどん消え、人材流出も止まらず、深刻な経営課題に陥った。そんな時にコーチングに出合った。
自らも含め、組織のキーパーソンに導入した結果、徐々に派閥を超えて対話が生まれ、期待していた統合効果が出てくるようになった。今や我々は、対話やコミュニケーションは、数値で表すのは難しいものの、明らかにビジネス上の価値を生むということ、そしてそれらを経営上の最重要事項と捉えている。
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このお話を聞き、私は、「対話」とは何かを追求し、自らがコーチとなって組織変革や価値の創造のお手伝いをしていきたいと思いました。
これから毎月こちらのコラムでビジネスの中での「対話」について掘り下げていきます。来月もお目にかかりましょう。
(次回は1月1日号掲載)
〈プロフィル〉竹内 健(たけうち たけし)
エグゼクティブ・コーチ(COACH A USA 取締役 CFO)
PricewaterhouseCoopers LLPにて異例の日米5都市を異動しつつ、公認会計士として日米欧の企業や経営者へのサポートを行う中で、ソリューションの提供だけでなく対話を通じた人 への投資があってはじめてクライアントのパフォーマンスが発揮されることを痛感し、これまた異例の会計士からの転身をはかり現職。【ウェブ】www.coacha.com/usa/