〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第66回

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靴について part 4

dodl 紳士用紐靴には内羽根と外羽根と呼ばれる2種類のスタイルがあります。前回(6月28日号掲載)触れましたアメリカンスタイルのグッドイヤーウェルテッド製法の紐靴は、外羽根と呼ばれる紐を結ぶ部分が別パーツとなっており、紐を緩めやすく、締めやすい、いかにも丈夫でドッシリした男性的なフォルムが特徴です。英語ではブルーチャー(Blucher)と言い、19世紀のプロシアの将軍の名前から付けられました。スーツと同様、やはり紳士靴も近現代のミリタリーにルーツがあることの一つの証明となりますでしょうか。
もう一つ、内羽根と呼ばれる、紐を結ぶ部分が靴と一体となったスタイルがあります。英国製紳士靴の多くに見られ、アメリカンスタイルに比べて靴底も薄く、あまり張り出してもおらず、よりスマートでドレッシーな印象があります。通称「Bal」と呼ばれ、バルモラル(Balmoral)、英王室の居城の一つ、ビクトリア女王の伴侶アルバート公にちなんだ名なのです。もし男性のビジネススーツスタイルにどちらかのスタイルを? と問われれば内羽根・英国式の紐靴をお勧めします。英国式のスーツスタイルの他、イタリア、フランス、アメリカなど世界中のあらゆるスーツスタイルの足元に合わせることができるからです。
ニューヨークはビジネスにおける世界の首都であり、世界のあらゆる紳士服のスタイルが存在し、ミックスされてもおり、基本についてある程度勉強しないと何がなんだか分からないという方も多いようですが、私たちにはある程度仕方がない部分があるとはいえ、紳士服とは、西洋の男性にとって大切な教養の一つなのであり、世の中の隠れたルールの一つと言ってよいものであり、そのような意味で、クールビズなど西洋の伝統的ドレスコードを軽んじる風潮が日本の男性の中にあるように感じることがないではありませんが、装いを崩しすぎることがないよう注意をしたいものです。それではまた。
(次回は7月第4週号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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