〈コラム〉仕事と記憶力 情報を暗記するよりも導き出す要領に重点

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第30回

最近、学ぼうと思う事柄がおおいのですが、その方法について考えなければならないと思います。正直、学生の頃の試験は、記憶力勝負の勉強ばかりしていました。その時はそれなりの結果は出すことができたのですが、仕事で記憶力に頼っているといつか限界が来てしまいます。
社会人を始めた頃のある日、会社のリポートを表で作成することになり、エクセルを使用したのですが、初めてその便利さを実感でき、“これは極めよう”と思いました。その頃の同僚とエクセルのフォーミュラの知識量を競い合いながら、内輪ではエクセルに強い人のことを“エクセラー”と言う呼ぶようにして、一所懸命勉強しました。
仕事に役立つ操作方法やフォーミュラを覚えることで仕事の効率は格段と上がりました。そうしているうちに、自分たちのエクセルブームもひと段落して、少し時間がたつと日ごろ使わないフォーミュラは驚くほどに記憶から消えていました。あんなに勉強したのにと思いながらも、どういうことができるかは、今でも覚えているので、必要になれば、愛用テキストの目次から検索して役立てることはできます。
エクセルの勉強で大切であったのは、フォーミュラをたくさん覚えることではなく、エクセルで何ができるかを覚え、仕事でどのように役立てられるかを考え、それを素早く検索して実用することでした。同じようなことは、会計職でも言えます。
米国公認会計士試験は、範囲は膨大なのですが、各設問がすごく難しいとは思いません。どちらかというと記憶力勝負の試験ではないかと思います。一所懸命、その膨大な量を暗記して試験には合格しましたが、実務ではその膨大と思っていた試験範囲くらいの知識量では全然足りません。一方、実務を経験して最も大切と感じたことは、ツールの利用です。
税法専門や監査専門の会計ツールがあるのですが、それをどのように有効に利用するかということが早く仕事を完了させるカギとなります。税法を覚えることも大切ですが、税法をすべて暗記しようとすると大変な時間が掛かってしまいます。
20年前とは違い、スマートフォンなどの発達で膨大な情報の扉となる検索エンジンが手で持って歩けるようになりました。これを活用することで以前よりも記憶力に頼らずに情報を引き出せるように思います。この事により、調べ物の情報を暗記するよりも情報を導き出す要領に重点を置けば、効率的に仕事ができると思います。
(次回は8月第2週号掲載)

takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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