〈コラム〉導院整体センター、鈴木規正「心身整体道場」第30回

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整体施術の過程で「なぜ痛みの箇所が移動するのか?」

今回でこのコラムも30号を迎えることができました。沢山の方が来院され、連載済みコラムのスクラップを見せてくれました。読者の皆様のご支援に感謝の気持ちでいっぱいです。さらに研鑽を重ねていきます。ところで多くの方から、「施術治療の過程で、なぜ痛みの箇所が移動するのか?」という質問を受けます。今回はこの説明をします。
人間の身体はある1箇所だけがズレることはありません。左右対称ですから、仮に右がズレていると感じても、実は左側もズレているのです。またその箇所がズレるには、必ず原因があります。患者は、身体上で複数箇所(最低でも3、4カ所、多い人は5、6カ所)の痛みを持ち来院します。来院時には、「すぐにでも無くしたい一番の痛みの所が問題だ!」と言います。が、良心的で誠実な治療は、それを根本(骨盤矯正)から治します。その過程で一番の痛みが消失しても、残る2・3番手の痛み(今まで隠れていた/調整済みの関節と未調整の部分の軋轢)が浮上し、別の痛みを感じることもあります。これは自然治療の過程で当然のことです。春から夏に移行するのに、寒い日や暑い日の繰り返しがあり、やがて夏になるのと同様です。人体はロボットではないのですから、機械の部品だけ変えればいいというわけにはいきません。
①仕事にさし障る②過去にカイロやフィジカルセラピーに通院したが完治しなかった③慢性痛を、5〜10年我慢してきた④20年来諦めていたが1週間程前から、痛みの程度・質が違ってきた⑤「どうしたらいいのか分からない」―と駆け込んでこられます。レントゲンやMRI画像を持参で来られる方が多くいます。一応は参考にはしますが、導院整体の診察では、本来あるべき体・骨格が、“どの位/どのように転位”しているのか? 全て手指により詳細に診ていきます。本来のあるべき身体とは、「大地にしっかり立ち、風にたなびく樹」のイメージです。
【膝痛の実例】
Hさん(40代男性、日本人、サラリーマン、社会人野球の選手)数週間前から走ると膝が痛いと訴え来院した。膝のレントゲンやMRI画像等を持ってきた。ある時、膝痛で歩くのにも痛みがあり、階段ではガクガクして昇り降りできない。「膝内障」と診断され、フィジカルセラピーに2〜3週間通院した。かなり無理をしたのか、膝関節が捻転/ズレ、周辺筋肉群の硬直、ハムストリングの硬直が見られた。根本の原因は骨盤の右捻転が大腿骨を押し出し、右膝関節が骨盤転位を補完するためにズレたのが原因。3度の施術で完治した。
Wさん(50代、株式トレーダー)ジムでのバイクのクラスが好きで、毎日30キロの走行をしていたが、坂道などではかなり無理な負荷をかけていた。別の医院での診断は「半月板損傷」。当院で触診で膝の裏のある個所を押すと激痛があった。同時に周辺部筋肉の硬直、骨盤の大幅な転位が見られた。骨盤の位置や大腿骨を正常位置に戻し、後に膝関節調整、半月板を正常に戻した。痛みはたちどころに消失。念のため再度来院してもらい、2回の施術ですっかり良くなった。
(次回は9月第1週号掲載)

Nori at NYGoCenter.〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。

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