出生前診断30
~妊娠第2期:セカンド・トリメスターの出生前検査(3)~
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第65回
過去2回にわたって、セカンド・トリメスターの出生前スクリーニングと診断の説明として、まず15週から20週の間に行われる4種の血液検査によるQUAD(クワッド)スクリーニングの説明を行っています。
このQUADスクリーニングは、妊娠中の妊娠検査の一環として、すべての妊婦に行われるべきものされていますが、特に、家族に遺伝異常がある場合、35歳以上の妊婦、妊娠中に妊娠に安全であると保証されていない薬を服用した可能性がある場合、糖尿病である場合、妊娠中にウイルス感染が考えられる場合、放射線にあたった可能性がある場合は受けることは価値があると言えます。
QUADスクリーニングを実施することに対する母体へのリスクは、採血の苦痛以外はなく、副作用はありません。このQUADスクリーニングの最大のリスクは、スクリーニング検査自体ではなく、もし、リスクが高いという結果が出た場合に、侵略的な施術でリスクを伴う羊水検査に進むかどうかを決断しないといけないことです。QUADスクリーニングの結果について、専門医師か遺伝子カウンセラーに相談し、納得の行く決定をすることが重要です。
調査によると、このQUADスクリーニングでリスクが高い、という結果が出たあと、羊水検査で実際は異常がない、と確認することができた妊婦は、QUADスクリーニングで最初からリスクがないという結果を得ている妊婦と比較すると、妊娠期間中、何らかの問題の発生や、早産、子癇前症などの複雑性が発生する率が高いことが分かっています。そのもし、このような結果の経緯を辿った場合は、残りの妊娠期のおける潜在的なリスクをコントロールするためにも主治医と相談することをお勧めします。
次回からは、妊娠第2期のスクリーニング検査で染色体異常の可能性があり得る、と出た場合、正確に診断したい妊婦に行われる出生前診断である羊水検査について説明していきます。
(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。