出生前診断31
~妊娠第2期:セカンド・トリメスターの出生前検査(4)~
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第66回
今回からは、妊娠第2期のスクリーニング検査で、染色体異常の可能性があり得る、と出た場合、正確に診断したい妊婦に行われる出生前診断である羊水検査について説明を開始します。この診断を行うかどうかは、個人の決断によるもので、母親によっては、敢えて診断を行わずに、妊娠を継続することを選択する人もいます。診断の実施するかどうかの選択は、個人の決断が尊重されるべきことで、医療的な選択肢というより、パーソナルな選択肢、ともいえるでしょう。つまり、お子さんがどのような状況にあったとしても、産むことを決意している母親は、赤ちゃんの状況によってその意思が左右されることはないため、敢えて知る必要はない、という選択肢もあるからです。以前にも説明したように、医療が進歩している現在、もし、赤ちゃんに障害があったとしても、寿命が延びています。米国ではサポートグループも多く存在し、社会的に育てやすい環境が出来てきています。
羊水検査は、胎児の細胞、組織成分、マイクロオーガニズムが含まれている赤ちゃんを囲んでいる羊水を検査するもので、赤ちゃんに関する幅広い情報を知ることが出来ます。遺伝子情報、現在の赤ちゃんの状態、赤ちゃんの成長状況などです。正確な診断をするために、この羊水検査は、伝統的に重要な役目を果たしてきています。
羊水検査が実施されるのは
⒈ スクリーニング検査の結果が異常であったりハイリスクの範囲にあり、羊水を検査することによって正確に診断を行いたい場合
⒉ 母親の年齢が高齢であり(通常35歳以上)ダウンシンドロームに関して診断を行いたい場合(もしスクリーニング検査で正常と出た場合は多くの高齢の母親であっても羊水検査は割愛する場合が多い)
⒊ 両親にすでに染色体異常のお子さんがいる場合
⒋ 母親がX染色体連鎖の遺伝子疾患のキャリアである場合(もし妊娠中のお子さんが男の子である場合、50%の確率で遺伝する血友病などを指す)
(羊水検査が実施されるリスト項目は次回に続く)
(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。