集夢計画99「続 平和の旅」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第104回

張水田氏(写真中央左)と筆者(写真中央右)と冠竑建設会社の皆さん。手にしているのは「平和の鐘」の模型

張水田氏(写真中央左)と筆者(写真中央右)と冠竑建設会社の皆さん。手にしているのは「平和の鐘」の模型

今年2度目の台湾に来ています。「平和の鐘」の資金集めと、きれいな音が鳴る鐘の制作工場訪問のためです。戦争から3年が過ぎ、最初から応援を続けてくれているクリスタルファンデーションからの寄付金が、「一祈一絵」の絵1枚につき400ドルから200ドルになったので、今月から定価500ドルの絵は1枚300ドルで購入してもらうことになりました。2023年のアート・エキスポ・ニューヨークから販売を開始した「一祈一絵」は、購入者は100ドル、クリスタルファンデーションが400ドルという形でスタート。これを2年以上続けられたことに感謝しながらも、300ドルになると購入枚数が減少することを考えねばなりません。戦争が長びけば応援は減る現実を目の当たりにしながら、私は最後まで続ける覚悟で支援を呼びかけ説明に回っています。

今年2月に中東を一緒に旅したShui Tien Chang(張水田)氏を訪問。彼は冠竑建設とLow Carbon Healthy & Life FoundationのCEOで、会社は台湾桃園国際空港の近く、台北から普通電車で2時間、車で40分、新幹線だと20分の距離にあります。私は普通電車で出かけ、説明会に集まってくれた社員の皆さんは十数名。「平和の鐘」プロジェクトに理解を示し、25点の作品を購入してくれました=写真。

鐘の制作工場は、数カ所に見積もりを頼み、最適なところを選ぼうと思います。最初の見積もりは8万ドルでしたが、6万ドルでできそうな工場が見つかり台湾中部へ。制作技師は、私の模型から計算すると2・2メートルが一番良い音が出るだろうと言って、現場にある2メートルの鐘の音を実際に聞かせてくれました。実に澄んだ音で、台湾からウクライナに向けて「平和の鐘の音」を響かせている光景が目に浮かんでくるようでした。工場が制作を開始するのは11月とのこと。3カ月の制作期間を考えると完成は来年2月頃になります。それまでには戦争が終結していることを祈りながら平和の旅を続けています。

(次回は11月15日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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