アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第106回

1月1日、ニュージャージーのアパホテルで「人道芸術:アートの力」の講演を行いました
明けましておめでとうございます。
毎年、新春には言葉を選び計画を立てますが、今年の言葉は「水滴石穿(すいてきせきせん)」。水滴でも落ち続ければ硬い石に穴をあけることから、小さな努力でも根気よく続ければやがて大きな成果を成し遂げられるという意味。10代の学生時代に学び、心に刻んだ言葉です。人道芸術プロジェクトを続けていると、この言葉が繰り返し頭に浮かびます。
2022年2月24日のウクライナとロシアの戦争開始以来、戦争が終わるまで毎日描き続けようと誓った「一祈一絵:One Painting One Prayer」は、今年で5年目。最初は「ペンは剣よりも強し」という信念のもと、30万本のペンで作った「智恵の門」に続く、平和を祈る自分のアートとして取り組み始めました。すぐに終わると思っていた戦争が1年経っても終わらず、満2年に突入しようとする前にウクライナを訪問し現地の人々と交流したことで、ウクライナのために私ができることが見えてきました。24年と25年には、描きためた絵を販売し、集めた20万ドルで、最初に希望されたゴミ収集車2台を送りました。これが第1段階で終了。
今年始まる第2段階は、音のなる「平和の鐘」を2月までに台湾で制作し、世界中に鐘の音を響かせるイベントを行い、夏にはニューヨークに運び同様のイベントをし、今年中にウクライナに届けたいと考えています。
そして、第3段階では、ウクライナのマルハネツィ市と契約した5エーカーの土地に、ミサイルの破片を素材にした平和のシンボル、もう一つの「平和の鐘」を制作、設置し、市民が集える平和公園を作ります。何と大きなプロジェクトになりました!
次回のコラムでは「平和の鐘」の完成を台湾から報告できるはずです。今年も一歩一歩、夢の実現に向けて歩みを進めて参りますので、応援のほどよろしくお願いします。
(次回は3月21日号掲載)

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック】