集夢計画6「1本のペットボトル、地球の愛」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第8回

「クリスマスLOVEツリーⅡ」1万2000個のペットボトルと1万2800個のLEDライトを使用直径約3メートル、高さ約8.5メートルQueens Crossing:38-21 Main Street, Flushingで1月中旬まで展示

私はこの数カ月、ペットボトルを使ってクリスマスツリーを作っていました。題して「クリスマスLOVEツリーⅡ」。4年前、20万個のおしゃぶりで作った「クリスマスLOVEツリー」の続編であり、「集夢計画」の前奏曲「當我們同在一起(みんなと一緒にいると)」でもあります。みんなと一緒にいると楽しいな、笑いたくなるなという子どもの唄ですが、今回の制作中に何度もこの曲が頭に浮かんできたのです。

ニューヨークのクリスマスを代表するロックフェラーセンターのツリーもそうですが、この季節どれほどの木が伐採されるのでしょう。もったいないと感じながら、いつか自分のツリーを作ってみたいと思っていました。9.11の後、その気持ちは更に強くなり、悲惨な記憶ではなく、楽しい記憶を人々に残したいと思うようになったのです。

今回の制作には、ニューヨーク市議会、商工会議所、Crossing Art, New Inspiration Careなど、多くの団体が理念に賛同して「愛 need your help」をキャッチフレーズに資金とペットボトルが集められました。
集ったボトルに切れ目を入れ、花を作る作業を手伝ってくれたのは、地元の高校生やお年寄り、家族連れの人々。現場はいつも笑顔が並び、にぎやかな声が響いていました。満開のペットボトルの花の木に、無数の愛をイメージしたライトをつけると、なんとも幻想的で美しい仕上がりとなり、私でさえも息を呑むほどでした。
クリスマスツリーの伝説の一つに、人々に幸運をよび込むとありますが、友情や愛情、たくさんの愛が注ぎ込まれた「クリスマスLOVEツリーⅡ」は、古い伝説の意味を呼び起こし、地球温暖化ではなく、人間間の温暖化、地球への愛を発信します。無価値であったペットボトルが、無限の価値を生み出した作品をぜひ見に来てください。きっとあなたも幸せになれます。

(次回は1月15日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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