集夢計画76「温故知新」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第81回

直径5メートルの大きな石にアンテナを取り付けUFOと対話するアートを制作中。場所:クリスタルパーク内の「ユートピア」

直径5メートルの大きな石にアンテナを取り付けUFOと対話するアートを制作中。場所:クリスタルパーク内の「ユートピア」

この1年、コロナワクチンのおかげで社会活動は再開しましたが、以前とは違う形を余儀なくされ、困難にぶつかっている人も多いのではないでしょうか。

孔子の言葉「温故知新:故(ふる)きを温(たず)ね、新しきを知る」。私は困難にぶつかった時、古い智恵を振り返り、言葉をかみしめることで、解決のヒントを得たり、思考が正しい方向に向かうことを経験してきました。

作品にも取り入れ、愛知万博の「智恵の門」は、「ペンは剣よりも強し」、クイーンズの彫刻は「天地地利人和」、メトロカードの十二支は「古文化現代ジャケットを着る」というように、古い文化や智恵を自分の思想に保留して新しいアートの形として表現しています。

最近取り組んでいるのは、UFOとの交信。ある夏の夜、クリスタルパークに現れた光る物体の印象が頭から離れないのです。あれが本当にUFOだったら話してみたいと思っていた矢先、私が制作場所を借りているウインドー会社のリサイクル室の人が、アートに使えないかと機械の部品を見せてくれました。「これは素晴らしい、まるでUFOを解体した一部のようだ」と思いさっそく山へ。クリスタルパークの「ユートピア」は、野生動物も顔を見せるアートと自然の一体空間。ここならUFOとの対話も可能かもしれない。音もなく現れるUFOを飛ばす世界は、地球よりずっと進んだ資源を持つ文明に違いなく、G20やCOP26で世界の首脳が集まっても進まない気候変動問題に、宇宙人が智恵をかしてくれるかもしれません。(笑)

最後に温故知新の4文字を分けて、温:人や環境に対して温和、善良、恭敬、故:故我依然(正しいことは守り続ける)、知:知己知彼(己を知り相手を知る)、新:新陳代謝、新益求新(新しく良いものを追求する)を来年への抱負としたいと思います。皆さんも今年を振り返り、良い年が迎えられますように。

(次回は1月第3週号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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