アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第84回
「アート・エキスポニューヨーク2022」の会場の様子。12月に発表予定の十二支の素材で、足りなかった白いメトロカードを集め届けてくれた人たちと。（左から２人おいて）John Choe（フラッシング商工会議所事務局長）、筆者、Alice Lee（S.P. ART代表）
先月開催された「アート・エキスポニューヨーク2022」。「ゴールデンエイジ」のブースは会場入り口の真正面、素材が目新しいこともあり、多くの人が足を止め、写真を撮ったり質問してくれたりで大盛況でした。最終日に、主催者による投票で様々な賞が出るのですが、私は「Award of Excellence」という最高の賞をいただきました。この場を借りて、会場に足を運んでくださった方、応援、協力くださったすべての皆様にご報告とお礼を申し上げます。ありがとうございました。
このように、明るい話題ばかりをお届けできればいいのですが、アート・エキスポ期間中にロシアとウクライナの戦争は激化。会場でもウクライナ支援の運動があり、私も売り上げの一部を寄付しました。
２月に戦争が始まって以来、ウクライナのアーティストを何とかアメリカに連れてこられないかと考えていました。戦争中でも海外からの要請があれば国外に出られると聞き、思いついたのが、行動アート「平和計画、人道芸術」。ウクライナ人アーティストをニューヨークに招聘し、人類共通の夢「平和」を目指す作品を世界に発信しようという企画です。このアイデアに賛同してくれたクリスタルファンデーションが30万ドルを提供してくれることになり、現在第１期の希望者の手続きを始めています。ボランティアで滞在先と展示場所を探してくれている人もいます。生活のために長期的なサポートが必要なので、ニューヨークに限らず各国から作品を提供してもらい、資金を募っていく予定です。協力したいという音楽家たちも出てきています。
アーティストによるアーティスト支援、その枠を超えた人間同士の支え合い、を行動にするのがこの企画。ニューヨークから世界に広げたいと思っていますので、皆さん応援してください。
（次回は７月16日号掲載）
〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年ＮＹ大学大学院修士課程を修了。ＮＹ現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門（愛知万博）」、「ラブツリー（20万のおしゃぶり）」がある。ＮＹ在住。【フェイスブック】
