アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第97回
台湾政府の華僑の会委員長（筆者の右隣）とＳＴＵＦのメンバー、Flushingの台湾文化センターの展示会場
2022年７月、STUF United Fund（Share, Trust, Unity, and Family）というＮＧＯがウクライナに救急車を届ける旅に同行する機会がありました。そのＳＴＵＦの総会が今年はニューヨークで開かれ、日程がちょうど私の展示会と重なったため、一緒に行ったメンバーがオープニングパーティーに集結。ドイツ、スイス、ポーランド、米国からはカリフォルニア、テキサス、ボストンから全員が集まり、台湾からは政府代表として、華僑の会の委員長が出席されました。２年ぶりの再会に喜び合い、ＳＴＵＦでは今年、病院で使う電動ベッド400台（台湾製）を４月にウクライナに寄付したと報告を受け、私も「一祈一絵」の絵を描き続け850枚近くになり、これまで350枚ほど売れた話をすると、皆大変驚き、応援したいと申し出てくれました。
７月９日のパーティーでは、「ロシアの大きな軍事力を相手にネバーギブアップで戦っているウクライナの精神は、私のアートに対する精神と似ている、私の応援イコールウクライナの応援なので、皆さん協力してください」と呼び掛け、世界中から集まったメンバーは「一祈一絵」のプロジェクトを自国に持ち帰り、さらに広げてくれることを約束してくれました。
ウクライナとポーランドの国境で会って以来、ここニューヨークで２年後に再会できたのは平和だからこそ。戦地ウクライナでは再会の約束はできません。私たちが訪問した首都キーウもまた攻撃され多くの犠牲者が出ています。ゆっくり飲んで食べて、笑顔で集会できる日常が１日も早く訪れるよう、平和の風を世界に、皆の手を借りてより強く吹かせたいと願っています。
（次回は９月21日号掲載）
〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年ＮＹ大学大学院修士課程を修了。ＮＹ現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門（愛知万博）」、「ラブツリー（20万のおしゃぶり）」がある。ＮＹ在住。【フェイスブック】
