集夢計画93「人道芸術プロジェクト:Rebirth 再生」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第98回

「Rebirth 再生」(高さ2.5メートル、横幅2メートル) 展示場所:ガバナーズ島 Nolan Park TAAC house 7b

「Rebirth 再生」(高さ2.5メートル、横幅2メートル) 展示場所:ガバナーズ島 Nolan Park TAAC house 7b

昨年12月、ウクライナで目にしたミサイル攻撃で破壊された建物の数々。多くの市民は避難したまま戻っておらず、戦地に残り暮らす人々は壊れた建物を修理しながらの不便な生活。そんなウクライナの旅の感想作品が「Rebirth 再生(写真)」です。

がれきと骨組みだけになった建物の中から生まれてきた天使。羽には1000枚の歯のレントゲン写真。綺麗な歯もあれば、血液の付いたものや、黒く怖い歯もあり、人間の喜怒哀楽、魂を象徴しています。戦争で亡くなった数十万人の犠牲者が集結し、天使となって生まれ変わる姿を、黄、青、赤、緑の光が明るく照らし、自分の国、自分の家族を守ってほしい、戦争が終わるまで力を合わせて頑張ってほしいと願いを込めました。

歯の写真は、自分のフィルムが数十枚、あとはウクライナに愛を届ける人道アートの理念に賛同してくれた人たちから1000枚以上が提供されました。土台部分のがれきは、制作場所の倉庫で小火があり、黒く焼け焦げてしまった天井と壁の一部を掃除しているところに通りかかり、これはちょうどいい素材になると思い私のスペースに運んでもらいました。今回もそうした廃材を使ってできた作品です。

作品は8月半ばからガバナーズ島で展示されており、その昔米軍の駐屯地であった島を文化施設として再利用している場所に置くことにも意味があると感じています。展示は10月まで続きますので、ピクニックがてら見に行ってください。

もう一つご報告として、ウクライナにゴミ収集車を贈るために「一期一会」の絵を売って集まった資金から、ポーランドで1台4万7000ドルで購入したものが9月17日にウクライナに届けられました。次の目標は、「平和の鐘」がある集会場の建設です。これまでご協力いただきましたお礼と、引き続きのご支援をお願い申し上げます。

(次回は11月16日号掲載)

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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