非移民ビザ、合法的に待機しながらもビザ申請延長などの却下なら対象に
2018年6月28日、米国移民局(USCIS)はNotices to Appear(NTA:移民裁判所への出頭命令)の発行に関する新しい指針を発表しました。この新指針によって、今後米国移民局がNTAを発行する対象の範囲が以前より広がります。そのため、国外退去可能なケースで、詐欺行為、犯罪行為、又は、ビザ申請など却下されたにも関わらず米国に違法滞在している証拠がある場合の外国人もNTA発行の対象となります。
以前の方針では、米国移民関税執行局(通称ICE:U.S. Immigration and Customs Enforcement)がその役割を担い、米国移民局はビザ申請審査がその役割の中心でした。それが今回の方針転換を受け、米国移民局にもその機能及び権限が持たされた形となります。
米国に合法的に就労又は居住している外国人でも、彼らの滞在延長申請や転職申請が米国移民局による指針の変更によって思いがけず却下されてしまった場合もNTAの発行を受けての国外退去手続きをしなければならないようになります。なお、NTAの発行を受けた外国人は、その内容が、個人の意思に反しているとしても米国を出国することが出来なくなり、移民裁判所に行くことを余儀なくされてしまいます。
同様に、最近のUSCIS の規定変更により、滞在を許可するステータスが無効になってしまった留学生もNTA発行の対象となります。
なお、2018年5月31日の時点で既に70万以上ものケースが移民裁判機関にて滞りが出ている状況ですので、この新指針は移民法業界また外国人にとって更に大きな影響を与えることになります。
この新指針によって最も気になる点の一つは非移民ビザ(H─1B、L─1ビザなど)の延長申請等、元のビザの期限を過ぎたにも関わらず申請は引き続き審査中の状態で、アメリカにて合法的に待機しながらも結果的にビザ申請が却下になってしまうケースで、今回のケースでは、その状況もNTA発行の対象となるようです。従って、非移民ビザ等延長申請の必要な方は、元のビザの期限を迎える前に延長申請の最終結果が出ている状況が望ましいと考えられます。
なお、この新しい指針ですが、発表の約1カ月後、その施行の延期が発表されました。繰り返しになりますが、この指針は、米国移民局がNTAを発行する対象範囲を広げるというもので、国外退去可能なケースで、詐欺や犯罪行為、又は、ビザ申請などが却下されたにも関わらず米国に違法滞在している証拠がある場合の外国人もNTA発行の対象になる、との内容です。
この新指針の施行に向けて米国移民局は30日以内にNTA発行や米国移民関税執行局への委託(通称RTI:Referral to Immigration and Customs Enforcement)に関する業務について、方針の見直しと政策を行うよう指示を受けていました。
ただ、延期はあるものの、早々の施行を前提に、早めに延長申請の結果を得られるべく申請を進めるなど、皆様にはより計画的な対応をお勧めいたします。
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