〈コラム〉飲食店のメニュー価格 日米で違う価格設定の出発点

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第79回

夏が終わり9月になりましたが、皆さんは夏休みを楽しめたでしょうか。私のほうは去年から一人娘が高校に入り寮生活になってしまったので、夏休みくらいはできるだけ一緒に時間を過ごそうと思い、今年の夏は9年ぶりに日本や韓国に旅行に行ったり、米国でも週末旅行をするようにしました。

旅行に行くと外食が増えるのですが、いろいろな飲食店に行くことができました。今回、私がお客さんの立場で求めていたのは、家族で楽しい時間を過ごせそうな飲食店でした。特に日本にはたくさんの面白いお店があり、米国生まれの15歳の娘は、日本の飲食店の接客やお店の雰囲気などを楽しんでいました。私も久しぶりにゆっくりと日本の飲食店を見ることができました。

私が感じたことは、メニューの数が必要最小限に抑えられ、専門性が高いお店が増えてきているということでした。価格のほうもうまくコントロールされているようで、ロケーションによってお店の選択をしたのですが、どの業態も満足のいくサービスと値段でした。
ある食品業界紙の調査によると、米国ではコストを基準にしてメニューの価格を決める飲食店が多いのに対して、日本ではお客さんが商品やサービスについて、どのくらいの金額を払うだろうかというところが、メニューの価格設定の出発点になるようです。

言い換えると、米国の飲食店はお店側の事情を中心としており、日本の飲食店は消費者の考えを中心としているところが多いといえるのではないでしょうか。ここにも日本が「おもてなしの国」と言われる所以があるのかもしれません。

私はお酒好きなので、時々マンハッタンにある居酒屋に行きます。食品業界紙によると日本では一般的な消費者をターゲットにしている居酒屋の客単価は2500円(2人で5000円)ほどで考えられているようです。内訳は2人で500円の飲み物が4杯、600円の小皿料理が5皿という設定のようです。

マンハッタンでは同等のお店で同じような注文をしたとして比較した場合、飲み物が8ドル、小皿料理が10ドルほどとすれば2人で82ドル、客単価は41ドルになります。そしてチップ制の店が多いので、20%を支払うとすると実際には60ドルほどになります。
これからニューヨークでは最低賃金が上がるなど、さらにメニューの価格は上がっていく傾向にあります。高級日本食店進出のニュースはよく聞きますが、個人的には気軽に立ち寄れる居酒屋も増えることを期待しています。

business-kusaka-takeshi〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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