代理出産5
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第77回
代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産について説明しています。代理出産は、まだ約40年のみの歴史しかない新しい医療技術である体外受精から派生した治療の一つです。そのため、7~8年前まで規制がほとんどなかったことから無秩序に行われていたことから混乱が起き、代理出産に関わるいくつかの大きな事件をもきっかけに徐々に規制、法律が確立し、代理出産の依頼ができる国が非常に少なくなってきたことを前回お伝えしました。
代理出産を依頼するのは、婚姻関係にある夫婦、未婚のパートナー同士など2人による場合か、独身女性、もしくは独身男性など1人による場合があります。2人による場合でも同性同士の婚姻関係にある夫婦(国により同性同士の婚姻が合法である)、または同性同士のパートナーであることもあります。同性同士のパートナーのケースでは、代理出産を必要とするのは、ほぼ全てのケースで男性同士の場合となります。
赤ちゃんの遺伝子は、依頼者が2人の場合は、両者から、もしくは少なくとも1人の遺伝子が使用されることが普通です。2人の依頼者の1人のみの遺伝子使用の場合、もう片方はドナーを使用します。依頼者が1人の場合は、依頼者本人の遺伝子と併せてドナーを使用します。
異性同士の婚姻関係にある場合の代理出産が必要な主な理由は、
⒈女性パートナーに子宮がない場合
(1)子宮頚(けい)がん、子宮体がんなどによって子宮摘出手術を行った場合
(2)生まれながらに子宮がない場合(ロキタンスキー症候群)
⒉女性パートナーが妊娠することが危険な場合。
(1)がんなどの重篤な疾患により治療中である場合
(2)がんなどの重篤な疾患により治療完了後でも妊娠によるホルモン上昇が再発を引き起こす可能性がある場合
(3)子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが妊娠を妨げる場合
(4)健康でなく、妊娠することが危険な場合
(5)年齢が高く、妊娠することが危険な場合
で、弊社がこれまでにお手伝いしたケースでは100%が男性パートナーの精子(遺伝子)が用いられています。
(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。