トミー富田「ハーレム浅草下町考」Vol. 64
10月2日〜8日、NYの新名所ハイラインで開催された「マイルロング・オペラ(The Mile-Long Opera)」は、“凄い! めちゃくちゃ新しい!面白い!”のひとことに尽きる、私たちの想像を遥かに越えた壮大イベントでした。
ピューリッツァー賞受賞作曲家デイビッド・ラングと、ハイラインそのものをデザインしたNYを代表する世界的建築家ディラー・スコフィディオ+レンフロの、構想6年・夢の実現。12丁目から34丁目までの1.45マイル(2.33キロ)に、オールジャンル・人種の、NY5区を代表するシンガー1000人がずらりと並び、数千人のニューヨーカーから集めた「NYの7時とは?(a biography of 7 o’clock)」のソロ・ストーリーを、ハドソン河に沈む夕日・夜景をバックに、NYのサイレンや喧騒をもBGMにしながら、通る人がそれぞれの瞬間で違うものを見る、聞く、感じる。
多数のスポンサー、地域文化振興団体の支援のお陰で相当豪華に企画されており、ハイライン沿いの超高級コンドの部屋を貸切って作られたセットを見ながら、シンガーのバッグ、帽子、カップ、顔etc. それぞれがLEDで光り、「家賃が高すぎる!」など歌っている内容も場所に合わせていろいろ、笑。でも天才的に全部が1つのストーリー、コンセプト、音でまとめられていることが驚きで、途中びっくりする演出も多々あって、ふと見ると隣に有名なシンガーも沢山、これはNYC公認でなければできない規模。
そこに、私が1997年創設した日本人初のゴスペルグループ「ハーレム・ジャパニーズ・ゴスペル・クワイヤー」が、沢山のシンガーがいるこの広いNYで、この一流スタッフの皆さんに探し当ていただき、唯一の日本人グループとして出演できたことを本当に光栄に思います。
トニー賞のビルT・ショーンズ、アカデミー賞のジェイク・ジレンホールやスーザン・サランドン、スパイダーマンのジェームス・フランコ、大統領自由勲章受賞スティーヴン・ソンドハイム他、エンタメ界のトップクラスの面々も、観客として、私たちの30センチ先を笑顔で通り過ぎて行きました。That’s New York !!
眠らない街NYの夜7時にはそれぞれのストーリーがありますね。さて、皆さんの夜7時は?
(次回は12月第2週号掲載)
〈筆者プロフィル〉トミー富田(トミーとみた) 東京浅草生まれ。ニューヨーク・ハーレム在住23年の音楽プロデューサー。1994年にアジア人初の「Dr.マーティン・ルーサー・キングJr.アワード」を受賞。ハーレム商工会議所会員。アポロ劇場ボードメンバー。20年以上続けている大人気の「トミー富田のハーレムツアー」は、日本からのファン、リピーターが多いことでも有名。
■トミー富田のハーレムツアー 電話:646・410・0786 ウェブ:tommytomita.com
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