〈コラム〉少量でも命取りの危険がある、タイレノールの過量摂取

0

カイロプラクター DR. 石谷三佳「骨盤・背骨の歪みをリセット」第169回

痛みはカイロプラクティックで原因追究し確実な治療を

2011年11月23日、タイム誌ウェブサイトのヘルスランド・セクションにこんな題の記事が掲載されました。他にも同様の記事はたくさんあります。「人気の高い鎮痛剤も少量の過量摂取で命の危険」(CBSニュース)、「静かな殺し屋:ほんの少しの過量摂取で命の危険」(FOXニュース)、「長期的なアセトアミノフェンの過量摂取で肝臓損傷の危険」(USAトゥデイ)といった具合です。

記事は全て、11年11月22日発行の英臨床薬理学誌、British Journal of Clinical Pharmacology(以下、Journal)に掲載された研究に基づくものです。USAトゥデイの記事は、「長期にわたり、鎮痛剤アセトアミノフェン(タイレノールのブランド名が有名)を多めに飲み続けると、少量ずつでも過量摂取となり、肝障害と命の危険につながる」との穏やかでない警告で始まっています。

研究の著者であるケネス・シンプソン医師は同記事で、推奨量よりわずかに多い量を飲み続けるだけでも深刻な肝障害が起き、死の危険があると説明しています。Journalのプレスリリースではさらに、「自殺しようとする人のように大量の過量摂取を一度にするわけでなくても、長い時間を経てダメージは積み上がり、結果的に命に関わる」のだと語っています。このような、繰り返し行う少量の過量摂取を研究者は「staggered overdoses(時間差過量摂取)」と呼んでいます。

同研究では、1992年から2008年の間にアセトアミノフェンによる損傷のためエディンバラ王立病院に入院した663人の患者を調査しています。これらの患者のうち161人に、時間差過量摂取が認められました。頭痛、歯痛、筋肉痛、腹痛などのために服用していたものです。シンプソン医師によると、「これらの患者は一度に大量の過量摂取をした人に比べ、入院時に肝障害と脳障害を抱えていることが多く、腎臓透析や呼吸補助が必要な人も多かった」とその危険性を伝えています。

タイム誌によると、「アセトアミノフェンは世界で最も一般的な薬物の一つで、05年の米国だけでも280億回分の投与量が購入されて」います。そして大変一般的な薬物であり、タイレノールの主要成分でもあることから、安全なものだと思われがちだとのことです。しかし実際には、「タイレノールの過量摂取は米国における急性肝障害の原因ナンバーワンで、FDA(米食品医薬品局)によると年間の入院者数はのべ2万6000人、死者数は500人に上る」のです。

痛みでどうしようもない時、とにかく鎮痛剤を飲みたくなるかもしれません。しかし、鎮痛剤や注射で一時的な痛みを抑えても、その痛みがある原因を追究しない限り、最終的にもっと症状がひどくなるか、上記にあるような他の病気を発症してしまうかもしれません。カイロプラクティックは、その根本的な痛みの原因を追究し、診断のもと確実な治療を行います。もちろん、痛みが強すぎる場合は他の専門医と連携しながら治療を行う場合もあります。

(次回は11月10日号掲載)

MikaIshitani〈プロフィル〉石谷三佳(いしたに みか) 石谷カイロプラクティッククリニック院長、パーマーカイロプラクティック大学院卒、ハーバード大学医学部専門課程終了/米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員/2008「Chiropractor of the Year」受賞。2015「Bergen’s Top Chiropractor」受賞。
過去の一覧

Share.