TOGETHER FOR 311追悼式典
11日で東日本大震災から6年となるのを前に、マンハッタンのファーストチャーチ・オブ・クライスト・サイエンティスト教会で5日、東日本大震災と昨年4月に起きた熊本地震の追悼式「TOGETHER FOR 311追悼式典」が行われた。
被災地や被災者を応援し続ける人々がニューヨークにもいることを伝えたいと毎年開催されている同式典、6回目となる今年も在留邦人ら約420人が会場に集い、祈りをささげた。研修中の福島県立ふたば希望未来学園の生徒9人も参加した。
震災から6年、式典に約420人
式典では岩手県、福島県、宮城県、熊本県、大分県など、被災地からのビデオメッセージが流された。自身も妻を亡くした岩手県陸前高田市の戸羽太市長はビデオ内で、震災で親を亡くした子供たちが前向きになれるよう米国ルース大使(当時)に「子供たちにアメリカを見せてください」と依頼し、震災孤児たちの渡米が実現した逸話を語り、「いまだに2500人が仮設住宅に住んでいます。まだまだがんばっている人たちがいることを忘れないでください」と訴えた。
福島県浪江町の伝統工芸、大堀相馬焼の松永窯4代目・松永武士さん(28)は式典に出席し、スピーチ。東京電力福島第1原発事故を受け、浪江町が避難区域となった後、松永さんは実家の窯元を福島県西郷村に移し、家業を継ぐことを決意したという。「文化を残すことは、故郷を残し、その人の人生・アイデンティティーを残す重要な手段」と話し、「相馬焼を広めることにより、浪江町がたくさんの人の心に残るようにしたい」と語ると会場は大きな拍手に包まれた。
ニューヨークの日本語補習校に通う子供たちで構成された「風の環少年少女合唱団」は3曲を披露。復興支援グッズの販売と募金コーナーで集まった寄付金は日本領事館とジャパン・ソサエティーを通じて被災地に送られる。主催の「フェローシップフォージャパン」はニューヨーク在住の在留邦人らによるボランティアグループ。震災後、さまざまな支援活動が発生した中で、団体同士が協力し合ってより大きな支援をしようと、リーダーたちが集まって結成した。代表のAK(柿原朱美)さんは、「震災から6年が経ったが、忘れていないということを伝え続けたい」と語った。
(2017年3月11日号掲載)