〈Topic〉治験機関 Clinilabs(クリニラボ) ゲーリー・K・ザミット博士に聞く

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新しい治療、新しい可能性へ向けて

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ゲーリー・K・ザミット博士 Clinilabs代表
2001年、Clinilabs設立。臨床医薬品開発の分野で主要なオピニオンリーダーとして知られ、80以上のオリジナルリポートや本を執筆、多くの製薬企業や非営利団体の顧問として活躍する。コロンビア大学臨床准教授。

最先端の新薬研究施設をニューヨーク、ミッドタウンとニュージャージー州イートンタウンの2カ所で運営する「Clinilabs(クリニラボ)」。治療を必要とする患者のために、効率的かつ迅速な医薬品の開発を促し、新薬を届けるために、避けては通れない臨床試験(治験)の実施を行う医薬品開発業務受託機関(Contract Research Organization)だ。同社代表であり、自らも医師として長年の経験がある、ゲーリー・K・ザミット博士にお話を伺った。
◇ ◇ ◇
Q クリニラボの目的とは?
A 日本の製薬会社をはじめ、世界の大手製薬企業から臨床試験を受託し、医療リサーチに携わっています。クリニラボの治験施設では、さまざまな病気や障害の完治に向けて、新たな医薬品、治療法を待ち望んでいる患者さんのために、製薬・医療機器企業が、新薬や最新医療機器を開発するために欠かせない臨床試験を行っています。
Q 治験とはどういったものですか。
A 薬や医療機器の安全性や有効性を確認し、厚生労働省やFDA(米食品医薬品局)といった各国の管轄行政機関の承認を得るために行う試験のことです。その試験に自らの意思で参加してくださる方を「治験ボランティア」と呼んでいます。クリニラボでは、どのようなリスクまたは利益があるのか? ボランティアに保証される権利は? 治療として効きめが期待できるのか? 報酬があるのか? など、治験ボランティアの方からの質問に対して納得していただけるまで詳しく説明をし、十分な理解に基づく同意を得た上でのみ臨床試験に参加していただいています。
Q 日本人スタッフはいますか。スタッフのことを詳しく教えてください。
A 日本人スタッフもおりますので、日本語で細かいサポートはお任せください。ほかの医療スタッフは、コロンビア大学、ニューヨーク医科大学をはじめとする一流機関の関係者で、各関連病院にも所属しています。看護師、薬剤師、治験コーディネーター、いずれも経験豊かで、誠意と使命感を持って任務に当たっています。

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施設内には宿泊施設やキッチンなどもある

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検査後に休憩したり宿泊できる個室も完備

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ニューヨークの施設の外観

Q 治験の必要性と責任とは。
A 新薬は臨床試験なしでは患者さんの手に届きません。多くの治験ボランティアの方々にご協力いただき、初めて薬は世に出ます。私たち医療関係者にとって、患者さんにとって、そして社会において、治験ボランティアの方々はヒーローだと言えます。
また、臨床試験の中には、ブリッジング試験というものがあります。薬の有効性は人種によって異なることがあり、例えば日本人と白人に同じ薬を投与した場合、有効性や副作用に相違があるかを調べることです。クリニラボでは、日本人の治験ボランティアの方々にご協力していただき、このブリッジング試験を行っています。クリニラボでブリッジング試験を経た「新薬の候補」は、厚生労働省の承認を得れば「新薬」となり、日本の患者さんの手元にも届きます。

治験ボランティア募集

治験ボランティアに無料送迎も提供している。治験に参加した日本人の体験談がウェブサイト(www.clinilabs.com/japanese)で閲覧できる。治験ボランティアの募集要項も掲載されている。詳細は、日本語ライン(212-994-4563)まで。
■ニューヨーク(423 W 55th St, New York, NY 10019)
■ニュージャージー(4 Industrial Way WEatontown, NJ 07724)
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年9月27日号掲載)

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