「終戦の詔勅」と日本人の信仰心―神風は吹かず―
玉音放送を現代語訳とともに解説
ニューヨーク歴史問題研究会は18日、「『終戦の詔勅』と日本人の信仰心―神風は吹かず―」をテーマに第32回例会を開催した。
同会会長の高崎康裕氏が講師を務め、会の前半では前回に引き続き太平洋戦争開戦前夜の日本を取り巻く情勢から敗戦を迎えるまでの経緯を年を追って説明。英米による日本への“圧迫”の事実を挙げ、侵略のために軍を進めたのではなく、追い詰められ自存自衛のため、自分たちの誇りを守るため「本意ではない戦争」に突入していったと高崎氏は解説した。
休憩後の後半では玉音放送として知られる「終戦の詔書」を取り上げ、当時の音声を流した後、現代語訳を読みながら解説。詔書の重要な点として、侵略ではなく「日本の自存と東アジアの安定を求めるため」といった戦争の目的の確認や、終結の理由として戦況の不利と核兵器の登場によって日本のみならず人類の文明をも破却するといったことなど、同盟国への遺憾の意、祖国再建への呼び掛けなどと分けて、それぞれ詳しく説明した。
また、高村光太郎の「一億の号泣」や吉本隆明ら当時の著名人の詩、言葉などを取り上げ、終戦の詔書がラジオで流された時の茫然(ぼうぜん)自失した国民の様子を紹介した。
会の最後には1946(昭和21)年の正月に昭和天皇が詠んだ和歌、「ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ松ぞをしき人もかくあれ」を紹介。最も厳しい冬をひたすらしのごうとした時に生まれた歌であり、この歌はまさに多くの国民にとって同じ心だったでしょうと、締めくくった。
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2015年2月28日号掲載)