ニューヨーカーに築地の魚介類を提供

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より良い材料と魚介類を求めて、日本へ

「竹寿司」川田隆三郎さん

 

ことし築地で仕入れた鮮魚の例

ことし築地で仕入れた鮮魚の例

 

「日本に飛んで、築地に自分で行って仕入れしています」と、まるでたやすいことのように笑顔で語るのは、クイーンズ地区サニーサイドの寿司(すし)店「竹寿司」、川田隆三郎さん。ニューヨークで開業して42年。マンハッタンから始まり移転先のクイーンズ、サニーサイドで店舗を営業している。

 

寿司の銘店に自ら足を運ぶ

日本への便は夕方着。ホテルにチェックインすると、毎回寿司の銘店に自ら足を運ぶ。刺し身を食し、その時々の一番良い魚の情報や仕入先の情報を板前たちに教わり翌日は朝4時から築地で買い出し。大量の食材を抱えて戻り、1週間ニューヨークで店に立ち、また日本へ買い出しに行く。

「本当においしいものを出すと、皆さん帰り際に私の所に来てくれて顔を見ておいしかった、ありがとうって言ってから帰ってくださって、それがとてもうれしくて」

「より良い品を持ってニューヨークに帰るのが自分の仕事だ」と、その声と笑顔を励みに、川田さんは日本へ向かうのだとか。

たくさんの食材と共にジョン・F・ケネディ空港に降り立つ川田隆三郎さん

たくさんの食材と共にジョン・F・ケネディ空港に降り立つ川田隆三郎さん

高品質へのこだわり

ブロンクスの市場にも、毎朝魚を仕入れにいくという川田さん。それでも日本へ飛ぶのは「日本には、和食用の食材を扱うプロがいてそのプロたちが仕入れるものは本当に高品質。ブロンクスでは、良い魚と悪い魚が混在して同じ値段で売られている。一方、築地では、良い魚とそれ以上に良い魚が買うことができる!」

おいしいものを食べ続けてきた日本人の味覚は世界一なのではないかと川田さんは言う。「かまぼこでも納豆でも、ニューヨークに来る前に必ず冷凍されてしまうでしょう? 私たちは本当の味を覚えていて、日本に居た時ほどおいしくないと感じても、その味で我慢する癖がついてしまっています」

そんな我慢癖のついた日本人に、「この味がニューヨークで食べられるなんて」と喜んでもらいたい。本当の味を知らないほかの文化圏の方にも納得してもらいたい、そんな思いが川田さんを日本の築地へと向かわせる。

“人生最後の店”と情熱をかけ、やりがいのある仕事だと川田さんは胸をはる。

▪情報▪
【店名】竹寿司(Takesushi)
【住所】43-46 42nd St., Sunnyside, NY 11104
【電話】718-729-8253
【ウェブ】www.takesushi.us
【営業時間】月―木 午後5時半〜10時、金・土 午後5時半〜10時半、日 午後5時〜9時

(2017年7月22日号掲載)

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