【NY歴史問題研究会 通信】vol. 7 日米開戦の裏側:ルーズベルトの陰謀と日本の錯誤〈上〉

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新資料が裏付ける陰謀説
自虐史観から早急に脱却を

第63回例会(11月例会)-1

ニューヨーク歴史問題研究会は11月30日、第63回例会(11月例会)「日米開戦の裏側:ルーズベルトの陰謀と日本の錯誤」を開催した。今回は同会会員でもあり、日米の大学で教壇に立つ目良浩一氏と同会会長の髙崎康裕氏が前後半に分かれ講演した。今号と16日号の2回にわたりその内容を紹介する。

自著を紹介する目良浩一氏

自著を紹介する目良浩一氏

米グランデール市の慰安婦訴訟でも活躍している目良氏の今回のテーマは「日米開戦に向けてのルーズベルトの思惑」。まずは自著の『Whose Back Was Stabbed – FDR’s Secret War on Japan -』を紹介した。この本は「歴史修正主義者」の本ということで、米国では“悪い本”だという。なぜなら「米国は正しいことをしたのだから、歴史を修正するのは悪」といった、米国の歴史に対する考え方があるからだという。「歴史は、決まっているものではなく、新しい資料の発見によって書き換えられるもの」と目良氏は述べた。

目良氏の講演に聞き入る聴衆

目良氏の講演に聞き入る聴衆

目良氏は、1930年代の世界情勢から丁寧にひもといていった。世界恐慌から、列強が資源のある国へ進出する中、ドイツに攻撃されていた英国のチャーチルはルーズベルトに助けを求めたが、ルーズベルトは「参戦しない」という選挙公約で動けない状態であった。しかし、この公約の中に「攻撃された時は別」ともうたわれていた。

「攻撃された時」という名目を果たすため、「ひそかに日米の戦争を起こした」ルーズベルトの陰謀説というのは、実はかなり以前から言われていたが、決定的な証拠がなかったという。しかし、48年に出版された、歴史家のチャールズ・ベアードの著書にはいくつかの“証拠”が記載されており、目良氏は、引用して丁寧に説明した。それによると「ハル・ノート」が日本に渡される前にルーズベルトと戦時閣僚が「日本から先に攻撃させよう」としていることがよく分かるという。

米国ではベアードの説が受け入れられなかったが、それ以降に見つかった資料でも陰謀説が示されているという。

ルーズベルトは「こっそりやることが多い」と目良氏。その一つとして、真珠湾攻撃の1年前の40年に、ゼネラルモーターズ(GM)などの産業界の指導者へ武器の増産を依頼したことを挙げた。また、翌年の41年6月には陸海軍に日本語の専門家を養成。明らかに日本との戦争が来るという準備であった。

フーバーのメモワールも紹介

フーバーのメモワールも紹介

また、自著の表紙にある「フライング・タイガー」にも詳しく触れた。これは日本への攻撃に向け中国で設立された“米国の空軍”で、中国の蒋介石政権を支援するために計画されたものだが、のちに、ホワイトハウスが直接管理するようになった。ルーズベルトは日本との戦争を7月にはやると決意していたそうだが、結局は日本の真珠湾攻撃が先となった。

他にも石油輸出禁止や米国内の日本人の資産凍結など、「日本を瀬戸際に追い込もうと画策した」ことが詳しく解説された。

陰謀説を裏付ける二人の米国人として、ハーバート・フーバー元大統領とダグラス・マッカーサー最高司令官が取り上げられた。フーバーのメモワールとして『裏切られた自由』と著書から、「ルーズベルトが近衛首相と平和協定を結ばなかった」ことや、マッカーサーが上院で述べた「日本が戦争をしたのは主に日本自身の安全保障のためであった」との証言などが紹介された。

「結論」として「日本に戦争を仕掛けてきたのはルーズベルトであった」と述べ、東京裁判によって「侵略者」とされたが、「日本は犠牲者であって、侵略者ではない」と私見を語った。

「占領政策よってもたらされた自虐史観から早急に脱却する必要がある」と目良氏は強調し、それに必要な改革の第一歩が憲法改正であろうと締めくくると会場は拍手で包まれた。

質疑応答も活発に行われ、“米国側から見た”日米開戦の歴史に興味深げであった。
(後半は12月16号で掲載)

※文中、一部敬称略

(2017年12月9日号掲載)

 

(過去記事はこちらでまとめてご覧になれます)

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