日米スターらの熱い闘いで幕
日本を代表するプロレス団体「新日本プロレス」が、米国の三つの主要プロレス団体の一つ、「ROH(Ring of Honor Wrestling)」と北米遠征を締めくくる3年ぶりのニューヨーク大会を18日、ミッドタウンで行った。
3月には既に完売
当日は会場となったハマースタイン・ボールルーム前には開場の数時間前から熱狂的なファンが列を作り、道ゆく人たちの関心を集めた。チケットは3月に発売されたが、すぐに完売。開場後も10分で新日本プロレスのグッズは完売し、3000人収容の会場は現地のプロレスファンで埋め尽くされた。
試合前に行われた選手のサイン会には階段の上まで続く長蛇の列が。特に1990年代から活躍する獣神サンダー・ライガー選手の人気は格別で、サインをもらうために日本の雑誌やグッズを持参するファンも姿も多く見られた。また、記念撮影に応じる憧れの選手を前にしたファンからは試合前にもかかわらず既に興奮してる様子がうかがえた。
必殺技の応酬に会場沸く
試合は、KUSHIDA選手がROH世界TV選手権のタイトルに挑戦、ジェイ・リーサル選手と互いにスピーディーな技の応酬で、会場からは早くも観客が「This is awesome !」コールし、賞賛。勝利目前まで攻め込いこんだが、最後にはリーサル選手の必殺技の前に惜しくも沈んだ。
前日、「新日本プロレスが世界に向けてやっていくために、貴重な試合。全力で盛り上げる」と話した棚橋弘至選手は、マイケル・ベネット選手と対戦。相手の美人セコンドの妨害にも屈することなく、最後は渾身(こんしん)のハイフライフローで勝利をつかんだ。
中邑真輔選手はケビン・スティーン選手と対戦、バイブレーション式踏みつけ攻撃やダッシュからの膝けり「ボマイェ」など中邑選手の代名詞ともいえる技を連発し、最後はボマイェ3連発で試合を決めた。
セミファイナルには、「日本にベルトを持って帰りたい」と話していた獣神サンダー・ライガー選手が、ROH世界ヘビー級王者のアダム・コール選手に挑戦。入場テーマ曲「怒りの獣神」が流れると会場は一気にライガーコールに包まれ、登場と同時に会場の熱気が一気に高まった。試合では掌打や雪崩式フランケンシュタイナーなど次々と得意技を披露し、ファンを魅了するライガー選手だったが、最後は足4の字固めにタップ(降参)して敗北。試合後には再び入場テーマ曲が流され、「サンキュー、ライガー」と観客は素晴らしい試合をしたライガー選手を見送った。
メーンイベントでは、IWGPヘビー級タイトル戦であるAJスタイルズ選手とマイケル・エルギン選手の試合が予定されていたが、新日本プロレスの人気選手、オカダ・カズチカ選手の対戦相手が欠場することになり、急きょオカダ選手も参戦する3WAYマッチと変更された。試合はオカダ選手が必殺技レインメーカーをエルギン選手に繰り出したが、AJスタイルズ選手がエルギン選手を引き起こし、スタイルズクラッシュを繰り出し王座防衛を成功させた。メーンのレフリーは、日本のプロレス界を支え続け、30年以上レフリーとして活躍するタイガー服部さんが務めた。
試合後、棚橋選手がリング上で「新日本はまた戻って来る」とファンに約束、大歓声で大会を締めくくった。なお、試合の様子はPPV(www.rohwrestling.com/content/war-worlds)で視聴可能。次回、新日本プロレスの大会は25日、横浜アリーナ(神奈川)で開催される。
近日、本紙で新日本プロレス所属選手のインタビューを掲載予定。
(文・写真:鈴木貴浩)
知名度上昇感じる
新日本プロレス 代表取締役会長 菅林直樹氏 3年前より期待値が高く、棚橋、中邑、オカダが登場するだけで歓声がすごい。ここ2年間、PPVで(新日本の試合)を見ている人が多く、知名度が上がっているのを感じる。特にライガーの人気は、北米だけじゃなく欧州でも台湾でも一番。“世界の獣神”だと実感した。(「WEEKLY Biz」2014年5月24日号掲載)