陸自派遣の教官案内で充実の内容
NY日系ライオンズクラブが主催
ニューヨーク日系ライオンズクラブ(山岸正明会長)は9月12日、戦後70年特別企画として、チャリティー一日バスツアー「ウエストポイント(陸軍士官学校)見学研修」を開催した。
ニューヨーク州にあるこの米陸軍士官学校は地名から「ウエストポイント」と通称される。一般でも見学が可能だが、このツアーでは、陸上自衛隊から教官として派遣されている塚本貴義3等陸佐から説明を受けられるというもの。この特別な機会に総勢53人の参加となった。
NY歴史問題研究会会長・高崎康裕氏からレクチャー
行きのバスの中では後援のニューヨーク歴史問題研究会の高崎康裕会長から、ウエストポイントの歴史や、日本の“士官学校”ともいえる自衛隊幹部候補生学校などについてレクチャーがあった。
ウエストポイントに到着すると、塚本氏が乗車し、バスで敷地内を見学。1802年に設立された同校は連合国軍最高司令官マッカーサー元帥の在学中からほぼ変わっていないという。
ただ、増築に増築を重ねたため、塚本氏も迷うという入り組んだ造りとなっている。城のように見える凝った建物を窓から見た参加者からは学校とは思えない重厚さに感嘆の声も聞かれた。
バスを降りて歩きながらの見学となり、図書館をはじめ、一つ一つの建物に塚本氏から詳細な解説がされた。
学生長で最優秀学生だったマッカーサー元帥
特に歴代の学生長と最優秀学生を記したプレートでは「マッカーサーの名前は両方にあります」と説明があると参加者は一斉に群がり、競うように同元帥の名前を探した。
普通のツアーでは見られない食堂の中も見学でき、4000人の学生が一斉に食事ができる圧巻の広さに、参加者は驚きの声を上げた。
また、敷地内で同元帥とアイゼンハワー元大統領の銅像が離れて立っていることで「あまり仲が良くなかったからではないか」といううわさの逸話に、参加者からはどっと笑い声が上がった。
軍から戦車など6台が特別展示
また、学生に見せるために期間限定で特別に軍から持ってきたという戦車など6台が並べてあり、参加者はそれぞれ見入っていた。
絶景が見られるトロフィーポイント
広大な校内にはコンサート会場もあり、ハドソン川が見渡せる、とりわけ絶景が見られるトロフィーポイントでは、各々が写真を撮る時間も設けられた。
学生らに日本語のテキストを寄贈するセレモニー
昼食は、敷地内だが一般に開放されているセイヤーホテルでとった。それぞれの円卓には同校で日本語クラブに所属する学生が1、2人座り、参加者らと懇談の時間が持たれた。また、ライオンズクラブから学生らに日本語のテキストを寄贈するセレモニーも催された。
日本の降伏文書や山下奉文陸軍大将の刀も展示
ツアーの締めくくりは、ビジターセンターと、日本の降伏文書や山下奉文陸軍大将の刀、長崎に落とした原寸大の原爆模型が展示された博物館の見学となった。
塚本氏には、参加者から学生に関する質問が多くなされ、関心の高さがうかがえた。参加者からは「塚本氏の解説があったからこそ、とても楽しかった」との声が多数聞かれた。
ツアーにかかる経費を控除した収入は全て同クラブを通じてチャリティーに使われる。
(2015年10月3日号掲載)
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