カーネギーホールで2夜連続公演
ロックバンド「X JAPAN」のリーダー、YOSHIKIが念願だったクラシックの殿堂・カーネギーホールで今月12、13日の2日間、全編ソロのピアノによるクラシック公演を成功させた。日本人初となったカーネギーホールでの2夜連続公演。2日間で5600人を動員したほか、日本、香港、台湾で生中継も行われた。
総勢47人の東京フィルハーモニー交響楽団を従えた今回のコンサート。スポットライトを浴びて白いロングジャケット姿のYOSHIKIがステージに登場すると、大きな歓声と拍手が起きた。「The Last Song」で繊細かつ力強い演奏を繰り広げると、見る者をYOSHIKIワールドに引き込んだ。そこからの3時間、1曲1曲に思いを込め、メッセージとともに楽曲を披露した。
4歳でピアノを始め、父親の影響でクラシックに興味を持ったというYOSHIKI。今は亡き父親を思い、夢のステージでオリジナル曲以外に、ベートーベンの「月光」やチャイコフスキーの「白鳥の湖」なども披露。また、X JAPANのメンバーで今は亡き、HIDEやTAIJIに捧げると、「Without you」を演奏、感極まって涙を流す場面もみられた。
クラシックコンサートとはいえ、X JAPANのドキュメンタリー映画の映像が流され、曲に合わせた照明の演出が目を引き、最後には大きなミラーボールが回るなど、YOSHIKIならではの個性の詰まったコンサートとなった。
トランプ氏に平等な社会訴え
途中、セットリストにはない米国歌をピアノで独奏。自らもつかんだアメリカンドリームの在り方に言及し、「アジア人、ヒスパニックがみんな同じように夢を見られるようにしてほしい」と、次期米大統領に就任するドナルド・トランプ氏に向け、人種差別のない平等な社会政策の実行を訴えるなど、ニューヨークならではのタイムリーなシーンもあった。
3時間に及ぶ思いの込もったクラシックコンサートの最後は、X JAPANの代表曲の一つ「ENDLESS RAIN」を披露。演奏中、盛大な合唱が場内に響いたほか、演奏後には2日間ともにスタンディングオベーションは約10分間にわたり、やむことなく続いた。
2014年にはX JAPANでロックの殿堂、マディソン・スクエア・ガーデン公演を成し遂げており、ロックとクラシックの米2大殿堂制覇という、ビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、スティング、デビッド・ボウイらと肩を並べる偉業をアジア人として初めて達成した。今年3月にはロックの殿堂、英ウェンブリー・スタジアムで「X JAPAN」としてのコンサートも決まっており、ワールドワイドな活動を展開、メンバーと共にさらなる高みを目指す。
公演の模様
(2017年1月21日号掲載)