ニューヨークで活躍する日本人にインタビュー
外資金融ウーマンから40代で人気料理家に転身!
仕事・結婚・子育てを両立しながら、夢を叶える方法
ニューヨークのウォール街でバリバリ働く金融ウーマンから、40代で全くの異業種である料理家の世界へ華やかに転身したひでこコルトンさん。「NY流おもてなし」をテーマに今や予約がとれない人気の料理教室を主宰し、米国フジテレビの料理番組では3年間レギュラー出演。去年には念願のレシピ本も出版。前編では飛ぶ鳥を落とす勢いの彼女が、これまでどのように夢を形にしてきたのかその道のりをご紹介しました。後編ではコルトン流「好きなことを仕事にする方法」や「仕事・結婚・子育てを両立する方法」を伺ってきました。
( インタビュアー:ニューヨーク在住コラムニストさめこ)
前編はこちら>>
外資金融ウーマンから、40代で人気料理家に転身するまでの道のり
コルトン流!好きなことを仕事にする方法
―コルトンさんはウォール街の金融ウーマンから料理家という全くの異業種に転身されましたが、どのようなステップで夢を実現されたのですか?
まずステップ1では、おばあちゃんになっても一生やりたい仕事は何か真剣に考えました。自分を見つめ直す良い機会でもあり、何を活かすことができて、どんな時に幸せを感じるかなどいろいろ自問自答しました。そこで迷わず即答したのが“料理に関わる仕事”でした。
そしてステップ2では、ステップ1を元にとにかく色々挑戦しました。日本人向けにフードイベントを主催したり、アメリカ人に料理を教えたりなどなど、まずはやってみて走りながら考えました。
続いてステップ3では、お客さんの反応を見て改善を繰り返しました。もし失敗しても次に活かせばいいと考え、どんどんチャレンジしてブラッシュアップしていきました。
最後のステップ4では、期限を決めて取り組みました。石の上にも3年ではないですが3年間は成果が出るまでやろうと決めていたので、ガムシャラに続けてきました。
40代からの起業に不安はなかったのか?
―40代から全くの異業種に転向するということで、失敗したらどうしようと不安にはならなかったのですか?
もちろん不安に感じることもあったけれど、それでもやりたい! 人生後悔したくない! と思って挑戦しました。もし仮に失敗したとしてもそこで学んだ経験や、そこから広がる人間関係など無駄にはならないですし、失敗しても次に活かせばいいと思ってチャレンジしました。それにウォールストリートという過酷な所で、日本人且つ女性というマイノリティーな立場でこれまで戦ってきたのだから何でもできると思えたのも大きいかもしれないですね。
年齢は関係ない! いくつになっても挑戦し続ける人生を!
私は40代で起業しましたが、50代で起業した人もいらっしゃいます。その人は40代でがんになった事がきっかけで「これからの人生は自分がしたい事しかしたくない!」と決意してケーキ屋さんを始めたんです。それも製菓学校も行っておらず資格もないのにです! 今は世界に名を響かせ大成功を収められている方なので本当にびっくり。だから年齢とか経歴とか気にせず、本当にやりたいと思ったらいくつになっても挑戦した方がいいと思います。人生一度きりですからね!
―素敵なエピソードですね! ニューヨーカーは年齢を重ねても生き生きと自分の道を突き進んでいる方が多い印象がありますが、私達も見習うべきですね。
ニューヨーカーはパワーが違いますね。特にお年寄りでもポジティブでエネルギッシュな人が多い気がします。そんな人達の中で過ごしてきたから、良い影響たくさんもらえたのかと思います。そう、数多くあるニューヨークの魅力の一つは人からパワーをもらえることではないかしら。そしてそういう人達と一緒にいると自分もどんどん影響されてパワフルになっていくのかもしれません。(笑)
またニューヨークは自分を信じて頑張っている人を応援する空気があります。だからみんなチャレンジ精神が旺盛なのかもしれないですね。
一見優雅に見えるけれど、体力勝負の仕事
―これまでお仕事をしていく中で、大変だった事はありますか?
もちろん大変なことは沢山あります。お料理教室中は一見優雅に見えるかもしれないですけれど、ずっと立ちっぱなしの仕事ですし準備段階があります。また冷や汗が出るようなハプンニングも沢山ありますし、人数分の食材の買い出しやセッティングなど体力勝負の仕事でもあります。だからレッスンの1週間前から私も家族も風邪をひかないように気をつけています。(笑)
でも大変な事があっても、好きというパッションがあるから頑張れます。もし自分でビジネスをしたいと思っている方は、困難を乗り越えるだけの情熱と好きな事を見つける事が大事なので、先ほどお話したステップ1~2を繰り返してとことん考えるのがいいと思いますよ。
生徒さんが喜んてくれることがやりがい
―大変なことも沢山あると思いますが、どんな時にやりがいを感じますか?
やはり生徒さんが喜んでくれた時ですね。レッスンで習ったお料理をそのままお家で作ったら、ご主人が喜んでくれて夫婦仲がさらに良くなったという話を聞いたり、ご主人の上司を招いてホームパーティーをしたら「料理が美味しい!」と上司に褒めてもらえてご主人の株も上がったなどの話を聞くと、とっても嬉しくって!
中には「コルトン先生に出会って私の人生は変わりました!」なんて言っていただき、自分をロールモデルに料理教室を始められてフード業界に転身するきっかけになれた時はやりがいを感じますね。
コルトンさんのポジティブなエネルギーはどこからきているのか?
―コルトンさんはいつも前向きで、周りにもそういったポジティブな影響を与えていらっしゃいますが、そのエネルギーはどこから来ているのですか?
もちろん私も落ち込むことはあります。でも長い時間落ち込まないよう注意してぐっすり寝ればスッキリする性格なのと(笑)、やはり母を早くに亡くしたり離婚をしたりと辛い経験を乗り越えて強くなったからかもしれません。またニューヨークの人はポジティブでエネルギッシュな人が多いので彼らからのサポートや影響も大です。だって私より大変な人たくさん見ていますから…。落ち込んでいる場合じゃないと思ってしまいます。(笑)
人生の優先順位を決めておくことが大事
―コルトンさんは仕事・結婚・子育てを両立されていて、同じ女性として素敵だなぁと思うのですが何か秘訣はありますか?
きちんと人生の優先順位を決めておくことが重要だと思います。特に女性は仕事、結婚、出産という転機がたくさんありますからね。私は昔から将来子供が欲しいと思っていたので、30代の頃は仕事よりも結婚と出産にプライオリティーを置いていました。
そして今でも私が一番大切にしているのは家族、その次が仕事です。もし大事な仕事中でも、息子やパートナーに何かあったら仕事を中断してでも駆けつけます。この優先順位をしっかり考えておくことはとっても大切です。
子供は輝いているママを自慢したい
―私はまだ子供がいないのですが、周りのお母さん達から子育ては楽しいこともあるけれど大変だという話をよく聞きます。コルトンさんはいかかですか?
私はずっと子供がほしいと思っていて40歳でやっと授かったので、金融の仕事を辞めて息子と一緒にいられることが何よりの幸せでした。息子が3歳になるまではベッタリ過ごして4歳の時に今の仕事をスタートさせました。もちろん子育ては大変ですが、ずっと欲しかった子供、そしてずっとなりたかった母親業を晩婚だったせいもあるかもしれませんが余裕を持って過ごしてこれたように思えます。
ママが一生懸命働いている姿を息子は見るのが嬉しいみたいです。私がお料理教室の先生をやったり、テレビに出演しているのを見て喜んでくれます。やっぱり子供はママを自慢したいんだと思います。(笑)
―ご主人もこんな風に奥さんが輝いていたら嬉しいんじゃないですか?
そうですね! 私がこうやって仕事を続けられるのも、パートナーやパートナーのご両親が応援してくれるからです。そしてベビーシッターさんにもいつも助けていただいているので、周りの方のサポートがあってのこと。とっても感謝しています。
コルトンさん流、夫婦円満の秘訣
―コルトンさんのブログやFacebookでは、とても仲睦まじいご夫婦のお写真を度々拝見しますが、夫婦円満の秘訣はありますか?
相手に幸せにしてもらおうという気持ちではなく、自分が相手を幸せにしてあげるんだという気持ちでいることかな。その為にも、まずは私が毎日健康で楽しく幸せでいること。自分が幸せじゃないと、相手を幸せに出来ないですからね。
―私もおじいちゃんおばあちゃんになっても仲良し夫婦でいたいので、参考にさせていただきます!
今出来ることを、全力で!
―最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。
人生は思っている以上に短くあっという間に過ぎていきます。私は母が37歳という若さでこの世を去ってしまったのを目の当たりにしているので「人生後悔したくない。やりたいことがあったら全てチャレンジする!」と常に思って生きてきました。これが10歳の私に母からもらったメッセージであり、彼女の分も生き抜くと強く決めたのです。
だから本当にやりたいことがあったら後回しにせず、小さな事でもいいので1日何か1つでも夢に向かってプラスになることを始めてみてください。そうやって積み重ねていったら、いつか繋がっていくと思います。時間を大切に有意義に使い、今出来ることを全力でやってみてくださいね。
ひでこコルトン
料理家、COLTONS NEWYORK代表取締役。
CIA(Culinary Institute of America)で料理の基礎を学ぶ。外資系投資銀行に10年勤務した後、会社を立ち上げる。新聞や雑誌等で幅広く掲載され、2012年より米国フジテレビ・料理コーナーに出演中。クラスは日本からお忍びで参加する芸能人や旅行者、そして現地駐在員の奥様でいつも満席。メンバーは既に1,500名を超える。初めての著書「NYのおもてなしレシピ」が講談社より好評発売中。
インタビュアー:さめこ
青山学院大学フランス文学科を卒業後、IT企業にてWEB広告制作・メディア編集者として7年間勤務。プライベートではマクロビオティックやローフード、オーガニック料理ソムリエなどの資格を取得し料理教室を主宰していた。現在はニューヨークにてコラムやインタビュー記事を始め執筆活動をしている。個人ブログ「さめこのニューヨーク通信」やinstagramでもニューヨーク情報を発信中。