詩画家、講演者 河村武明さん、「見方」が変われば、「味方」になる

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今年2月にはNY・チェルシーの展示会にも出展

重い障害持ちながら日本全国で活躍

河村武明氏は、重い障害を持ちながら詩画家、講演者として日本全国で活躍する。今年2月にニューヨークのチェルシーで展示会に作品を出展した河村氏に、苦難の乗り越え方など話を聞いた。(※インタビューは筆談形式で行った)

ニューヨークのギャラリーで作品とともに撮影に応じる河村武明氏=2月(撮影:高橋)

絵と詩で独自の世界観を創り出す河村氏の代表作は、京都市の百萬遍知恩寺内、瑞林院に奉納した10枚の襖絵(ふすまえ)だ。広がる宇宙に親子の竜が駆け巡り、独特の筆使いで書かれた法然上人の法語「一紙小消息」がつづられている。襖絵は個展として一般公開もされ「力強い世界観に感動」などの声が寄せられた。

また講演者としても活動し、今年の2月時点で、行った講演数は555回。昨年行われた「全国・講師オーディション」(主催:有限会社志縁塾)では133人の参加者の中から準グランプリも獲得した。

詩画家や講演者は言葉の表現に深く関わる仕事だが、河村氏は言語障害や聴覚障害、右手麻痺(まひ)、失語症という障害と向き合っている。

筆談で思いを伝える河村氏=同

2001年、34歳の時だった。もともとミュージシャンとして活動していたが、突然、脳梗塞で倒れ、48時間後に救出されるも重い後遺症が残った。ミュージシャンとして必要なものを奪われたと絶望にくれる。「ごぞんじですか? 本当の絶望は周りの景色がモノクロになるのです」と当時を振り返る。そして、絶望の淵で「ギターを弾いて歌えるって幸せだったなぁ」と思ったその時、ハッと気付く。今まで「幸せの海」にいたことに。当たり前のことがどれほどありがたいことだったか。「感謝」の気持ちが湧き上がり、モノクロに見えていた景色が色付き始めた。

つらい体験をした河村氏だが、「不幸」とは程遠いことが、その明るい笑顔に満ちた表情からうかがえる。マスコミに注目され、詩画家として活躍を続けていた6年前、妻となる夫人と出会う。出会ってから結婚するときも「(夫の障害を支える)覚悟」は一切感じなかったという。交際中も「筆談の時間が楽しくて、この人とだったら楽しく過ごせそうと思いました」と夫人は話す。河村氏の明るさを導くものは言葉の力だという。「最初は無理に『感謝しよう』と自分に言い聞かせていましたが、言葉にすることで心がついてきて、体験となりました。『できる』と思ったらできました」と河村氏。右手が麻痺しても左手で絵を描く。言葉が話せなくても、パワーポイントと妻の代読で講演会を行う。心掛けているのは「挑戦」を続けること。作品の路上販売に挑戦したことで高島屋での展示会を実現し、「日本一無口な講演会」を続けるうち、徳島県のふるさと大使にも任命された。

河村氏が読者に伝えたいことは、河村氏が体現したことそのものだ。病や困難に襲われても、感謝することから全てが始まる。「『見方』が変われば、『味方』になる」と河村氏。今後の挑戦は「世界で個展、講演会」をすることだそう。今回のニューヨーク展示会出展は、その第一歩になったようだ。

【ウェブ】www.hyougen sya-take.com/profile/

作品が展示されたギャラリー

(2020年4月11日号掲載)

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