建築デザイナー 佐藤タカヒロさん
日本、米国、アジアで“作品”残す
日本を飛び出し、ニューヨークへ渡るアーティストたちは多い。しかしそこから夢を実現することは、決してやさしいことではない。日本、ニューヨーク、そして世界の街に、一つ一つ自分の“作品”を残しながら、前に進んでいく人がいる。一級建築士の佐藤タカヒロさんだ。
一級建築士の資格を取り、東京の建築&デザイン会社で10年のキャリアを積んだ後、独立して事務所を構えた佐藤さん。「Y-3 Yohji Yamamoto」「adidas」をはじめとした人気アパレルショップやレストランなどの設計・デザインに携わり、数々の実績を積みながらも東京の「デザイナーの飽和状態」を感じていた。ライバルたちとの競争は厳しく、10社との競合コンペも当たり前の日々だった。違う角度からのアプローチが必要だと思った。海外に出れば、新しい考え方を吸収し、実績もできれば幅広い仕事ができるのではないか。デザイナーにとって強いブランドであるニューヨークからデザインを発信していきたい―。こうして佐藤さんの挑戦は始まった。
和の神髄や繊細さを生かしつつもモダンな流れを取り入れる
来米してほどなくデザイン事務所「SPEXA」の社長と出会い、現在チーフデザイナーとして活躍する。仕事の幅はニューヨークにとどまらず、カルフォルニア州やネバダ州といった全米、そして中国と、活躍の場は徐々に世界へと広がった。もちろんデザインの幅も広がる。日本人以外が作る“日本風のデザイン”ではない。和の神髄や繊細さを生かしつつもモダンな流れを取り入れていく佐藤さんならではの空間を創ることができるようになった。「やはり、ニューヨークには新しい価値観や刺激があります」と佐藤さんは語る。
「今後もニューヨークを発信地として、アメリカ、日本、アジアとグローバルな展開をしたい」と笑顔を見せた。
(2015年7月11日号掲載)