日本料理
NYで学ぶ、日本の味
米国での暮らしで恋しくなるのが、優しい味付けで健康にも良い「和食」。自宅で気軽に日本の味を楽しみたい、しかし近所の米国系スーパーでは食材が手に入らない…と悩む人も多いのではないだろうか。そんな方に「米国のスーパーで購入できる食材を利用した、美しく、おいしい和食」を提案しているのが、料理教室「Toshiko’s KITCHEN」の講師を務める料理研究家、安藤寿志子さん。おせちをはじめとした季節の料理や、目にも鮮やかなパーティー料理など、アイデアたっぷりの日本料理を、米国の旬の食材で作る方法を教授している。
安藤さんが料理に興味を持ったのは、少女時代。もともと生け花や茶の湯の修業をしていたが、両親の勧めで辻徳光氏が創設した「日本割烹学校(現・辻調理師専門学校)」に入学。次第に、料理の楽しさや創作の喜びに引き込まれた安藤さんは、数々の料理コンテストに出場し、最優秀賞を受賞した。
「特に印象的だったのは22歳の時、人気料理の番組で開催された、春の料理コンクールです。私は、ハンバーグステーキをパンに挟み、リボンで飾りをつけたものに、小川で冷やす寒天デザートを添えたピクニックメニューを考案しました。ハンバーガーが日本に無かった時代ですので、そのレシピは大変話題を呼び、全国1位をいただくことができました」と、安藤さんは振り返る。
1964年に長年の文通相手に会うためにニューヨークへ渡り、4カ月後に結婚。料理教室の運営や、日本食のケータリングサービスに精力的に打ち込み、86年には日本食レストラン「Kotobuki」を開業。ニューヨーク・タイムズなどの有名紙からも高い評価を受ける、大人気店となった。
現在はレストランを譲渡し、自宅で料理教室を開講する安藤さん。米国における肉・魚介の種類や、オーブンなどの調理器具の使い方から学べるコースは、「初心者にも分かりやすい」と好評だ。
「大切にしていることは、生徒が『習った料理を、家に帰ってすぐに作れる』こと。一人一人が調理を実践しながら、魚のおろし方や野菜の飾り切りの方法などを、体で覚えていただける講義スタイルです」と語る安藤さん。見た目にも美しい斬新なレシピにはファンも多く、マンハッタンをはじめとした近郊都市から、多くの生徒が訪れている。
Toshiko’s KITCHEN
【クラス概要】生徒数5~6人。月1回のクラスで4~5品を修得
(第1回メニュー例:はまぐりの香り酢かけ、フランクステーキのごま味噌ソース、錦糸卵のちらし風サラダ たまねぎドレッシング添え、オレンジスフレ)
【日程】要相談。時間は午前10時~午後2時(試食時間込み)
【費用】55ドル/回
【会場】37 Quarry Road Stanford, CT(スタンフォード駅より送迎あり)
【問い合わせ】toshikoando@mac.com、203-329-1990
(「WEEKLY Biz」2014年5月17日号掲載)