肩の力を抜いて楽しめるフレンチ
「ビストロ」とは、気軽に利用できる小さなレストランのことであり、フランス版“居酒屋”のような存在。春の訪れを感じ始めるこのころ、外に繰り出し、肩の力を抜いて楽しめるフレンチに舌鼓を打ってはいかがだろうか。
今回紹介するのは、ミッドタウンイーストにあるフレンチビストロ、「Serge Bistro(セルジュ・ビストロ)」。2012年オープンと新しい店ではあるが、実は以前、日本人に人気のフレンチとして名高かったマディソンアベニュー沿いのビストロ、「Serge」がハリケーン「サンディ」の影響で移転し、誕生した店。同じスタッフ、同じシェフによって運営されているため、「Serge」時代からのファンも多い。
一押しは、夜でも32ドルで3コースが食べられる、お得なプリフィクス。前菜はサラダやスープだけではなく、エスカルゴやパテなど、お酒に合うつまみがそろう。メーンとして人気なのは、フランスの田舎料理として代表的な雄鶏の赤ワイン煮込み、「Coq Au Vin」。カスタードクリームにメレンゲを浮かべた「Floating Island」などの繊細なデザートまでついてこの価格で楽しめるフレンチを、マンハッタンで見つけることは難しい。
プリフィクス以外でぜひ試してほしいのが、「Frogs Legs Persillade(25ドル)」。“Frogs Legs”という言葉でピンと来る人もいるかもしれないが、カエルのもも肉を、ニンニクや香草パン粉と一緒に焼いた一品だ。フランスの郷土料理の一つで、鶏のもも肉に似た食感でありながら脂っぽさは少なく、ニ
ンニクやパセリの香りと共に口に運べば、驚きのおいしさ。日本ではあまり食べる機会のない食材なので、その扱い方を熟知したシェフが生み出す味を存分に楽しんでほしい。
オーナーは、シェフ歴47年のフランス人、Serge Durkaさん。「全ての料理はホームメード。季節に合わせて食材を選び、一番おいしい調理の仕方を考え、メニューにはないスペシャルメニューも日々提供しています」と話しながら出してくれたのは、旬の野菜が煮込まれたやさしい味のポトフ「pot‐au‐feu(28ドル)」。気取らず、フレンドリーで心地良いサービスが、多くの顧客の心をつかんでいる。
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Serge Bistro【住所】1099 2nd Ave(bet 57th and 58th St), NYC【電話】212-355-4568【営業】(月―土)午前11時半~午後11時【ウェブ】www.sergebistro.com
(「WEEKLY Biz」2014年3月15日号掲載)