3人のDNAを持つ赤ちゃん誕生のもたらす希望
ニュー・ホープ不妊治療センターのジョン・ザン医師、自らの成果を発表
10月13日、14日にマンハッタンで開催された「2016 Art World Congress(Assisted Reproductive Technology:補助生殖医療」のシンポジウムで、ニューヨークの不妊治療専門クリニック「ニューホープ・ファーティリティーセンター」のジョン・ザン(Dr. John Zhang)医師は、3人のDNAを持つ赤ちゃん(Three Parent Baby)が、ヨルダン人夫婦のもとに誕生したことを発表した。
ミトコンドリアの遺伝子に欠陥がおきるミトコンドリア病を持つ母親は、この障害が原因で結婚後20年の間に、2人の子供が出産後に死亡し、さらに4回の流産も経験していた。しかし、ザン医師は、この夫婦の望みである、自分たちの遺伝子を受け継ぐ健康な赤ちゃんを産む、ことを可能にした。ザン医師の助けを得て、母親は今年4月に男児を出産。生後6カ月の男の子はすくすくと健康に育っている。
ザン医師は、紡錘体置換法と呼ばれる技術を使い、母親の卵子から核を抽出し、卵子提供者(ドナー)の卵子に移植。母親の核DNAとドナーのミトコンドリアDNAを併せ持つ卵子を作製し、父親の精子で受精させた。卵子およびミトコンドリア内の遺伝子以外の、99%の遺伝子を母親の細胞核から移植しているため、赤ちゃんは99%、両親からの遺伝子を引き継いでいることになる。
英国の科学誌「New Scientist」は、遺伝病に苦しむ夫婦を助けたザン医師の快挙を、大々的に報じている。
「これから多くの臨床テストを行い、科学的に危険のない方法であるという証拠を提示したいと思っています。」とザン医師は今後の展望を語る。
ニューホープ・ファーティリティーセンターは、2016年にフォーブス誌の「最も忙しい不妊治療クリニック」にも選ばれている。
◎情報
New Hope Fertility Center(ニューホープ・ファーティリティーセンター)
【住所】4 Columbus Circle(corner of W 58th St & 8th Ave)
【電話】212-969-7422
【ウェブ】www.newhopefertility.com
【Eメール】iov@nhfc.com、japanese@nhfc.com (日本語)
【オフィスアワー】 月―金:午前7時〜午後5時、土―日:午前7時〜午後3時
(2016年11月26日号掲載)