マクロビオティック・レストラン(2)
まだコンベンショナルな農業が幅を利かせていた時代に(福岡正信氏の田を耕さない、肥料をやらない、農薬を使わない、草をとらない)「自然農法」で米や野菜を作ろうというのだから――なかには興味を持ってくれる人もいたが――だいたい、いい顔をされなかった。日本から取材に来た番組でさえ、その番組のナビゲーターである有名な音楽家が番組の最後で、「大量の農薬と化学肥料と農機具のおかげで大量生産できたから、これだけの人口を養うことができた」と言ったくらいです。
ペンシルバニア州の裁判所には何度も足を運びました。争い事は、お金が絡む場合が多い。払って早く終わらせたい気持ちもあるが正義を通したいときもある。――だからといって正しいものが勝つとは限らない。より優秀な弁護士のいるほうが、より同情を得たものが、勝つ場合がしばしばある。なぜなら裁くのも人間だから。
腹(左下腹部)が痛くなるはずです。ずっと痛いわけではないが突然鈍痛に襲われる。久司道夫先生に、「医者に、行ったほうがいいでしょうか?」と尋ねると、
「その必要はありません。生姜シップをしなさい」
多くのがん患者を診てこられた久司先生の言葉には重みがあります。――が、一週間実行しても治らない。久司先生には内緒で医者に行きました。医者は触診したあと、
「おそらく、ストレスからでしょう。でも心配だったら、レントゲンを撮りますか?」
結果はやはり、ネガティブ(陰性)。――ストレスは結局自分で治すしかないようだ。痛みは、その後も十年くらいつづいていたでしょう。
いろいろなことがありました。それらを、これからじょじょに語ってゆこう
というわけですが、いまから考えれば、どれひとつをとっても、むだではなかった、何かそこに意味があるようにも思えるのは、時間の経過とともに、ものの見方が変わった、つまり私が変わった、ということなのでしょう。
(次回は5月19日号掲載)
〈プロフィル〉山口 政昭(やまぐち まさあき) 長崎大学経済学部卒業。「そうえん」オーナー。作家。著書に「時の歩みに錘をつけて」「アメリカの空」など。1971年に渡米。バスボーイ、皿洗いなどをしながら世界80カ国を放浪。