〈コラム〉マーケティング論の活用 まずはしっかりとした情報収集を

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第4回

マーケティング論といえば、まず「3C」と「4P」が思い浮かぶ人が多いかもしれません。
3Cとは、企業を取り巻く環境を分析するための3つの視点で、「Company(自社)」「Competitor(他社)」「Customer(顧客)」の頭文字を取ったものです。
4Pとは。企業がマーケティング活動に使える4つのツールだと言われ、「Product(製品)」「Price(価格設定)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の頭文字を取ったものです。特にこれを組み合わせて戦略を策定することを「マーケティング・ミックス」と呼びます。7つも要素があり、頭がこんがらがってしまうかもしれませんが、基本的には、良い商品をたくさん売るための考え方だと考えれば整理しやすいです。
良い商品とは、価格設定に比べて高品質な製品です。そんな商品を作るには、自社は他社を超える技術力や企画力を持たなければなりません。たくさん売るには、多くの顧客が必要です。人の数が多い場所ほど売れる確率が高いことは確かです。その市場に流通網を整えて、プロモーションをかけることにより、多く売れる可能性が高まります。
このように、英語の単語は使っていませんが、結局良い商品を多く売るということを考えていけば、3Cと4Pは自然に出てくることになります。
マーケティング戦略を使って成功した事例はたくさんあります。例えば、ある韓国の電器メーカーがイスラム圏でプラズマテレビを発売し、かなりの台数の販売に成功しました。成功の秘密は、イスラムのコーランをテレビに内蔵したことです。イスラム教徒ではない韓国人がコーランに着目したとすれば、現地の事情をかなりの研究をしたと思います。
一方、ある日本の電器メーカーは、インドの薄型テレビ市場でトップのシェアを獲得しました。勝因は、英連邦に属する国や地域が競い合うスポーツ大会「コモンウェルスゲームズ」が開催されるのに合わせて、大規模な宣伝広告を打ったからと言われています。日本ではあまり知られていないこの大会に、“注目度が高いスポーツイベント”だと判断したのもマーケティングの良い成功例です。
いずれの成功例も、現地の事情を知るということが勝因となっています。情報収集はとても大切なことであり、良い商品をたくさん売るために欠かすことのできないステップです。皆さんもビジネスを始めるときや企画などをする時には、しっかりとした情報収集から始めることをお勧めします。皆さんの成功をお祈りしています。 (次回は6月9日号掲載)

(「WEEKLY Biz」2012年5月5日号掲載)
takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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