日本クリニック「医療の時間」第20診
フルマラソンに参加される方も、参加した方も、マラソン後の疲労回復についての知識を身につけておくことはとても重要です。今回は疲労回復のいくつかのポイントについてお話したいと思います。
マラソン後:まず、やる気がしなくても必ず15分ほど歩きましょう。その後、筋肉をほぐすストレッチなどをし、バナナやリンゴなどを食べるのも有益です。それと必ず、水やスポーツドリンクをたくさん飲みましょう
帰宅後お風呂に入る場合は、お湯が熱すぎないように注意しましょう。専門家によると熱い湯は筋肉痛を悪化させるとのことです。また筋肉痛がある場合はアイスパックで何分か冷やしたり、抗炎症薬(イブプロフェンなど)摂取するといいでしょう。靴擦れがある場合はすぐに治療し化膿(かのう)するのを防ぎましょう。
その日の夕食はたくさんの炭水化物を摂取しましょう。上質のプロテインを含んだステーキや鶏胸肉などを摂ると良いです。
ランニングの再開:多くのランナーが、マラソン終了後どのくらいでランニングを開始できるか気になると思います。もしあなたが比較的安定したマラソンができ、終了後も痛みがあまり無い場合、マラソン終了後3日ほどで軽い距離を走ることはプラスになるでしょう。しかし、筋肉痛は2、3日後に悪化することがあります。もしそうなりそうだと感じたなら、必ず無理を控えてください。ランニング方法としては歩行と走行との組み合わせが筋肉の回復に効果的です。(例:5分歩いて5分走るなど)
1、2週間以内にランニングを再開する場合は、短距離でも疲労を感じることを予測しましょう。この疲労感は2、3週間持続することもあります、無理をしないようにしましょう。
回復期:さてフルマラソンから完全に回復するのにかかる期間ですが、おおまかには1日1マイルで26日間と言われています(ハーフマラソンの場合13日間)。プロは最短で2週間で次のフルマラソンに参加する人もいます。この回復期を乗り越えれば、再び体力の回復を感じ、新しいことにもチャレンジできるでしょう。
皆さん、マラソンを楽しく続けるためにも、体の声に耳を傾けながら上手に疲労回復しましょう。
(参考:アメリカスポーツ医学大学研究報告)
(次回は12月17日号掲載)
〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。NY大学医学部卒業。NYU Harkness Center for Dance Injuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会(ACSM)、東京大学、欧州などで講演を行う。