日本クリニック「医療の時間」第37診
米国医師会雑誌で4月1日に発表された新しいリサーチによると、簡単な運動と知的活動が、高齢者の認知機能を高めるということです。
このリサーチは、最近認知力の低下を感じているが運動をしない70代の高齢者の被験者を左記の4グループに分け、それぞれ実験を行った結果に基づくものです。
グループ1:知的コンピューターゲームと有酸素運動
グループ2:同じゲームと体操運動
グループ3:DVDかテレビの視聴と有酸素運動
グループ4:DVDかテレビの視聴と体操運動
被験者には、これらのアクティビティを1日1時間、週3日間を12週間行わせたところ、下記のような結果がでました。
グループ1と2は実験グループで、研究者は能力向上の結果を予想していました。グループ3と4は比較対象グループで、研究者はこれらのアクティビティが認知機能を向上させるに至らないと予想していました。
しかし驚くべきことに、実験結果で、全てのグループが認知能力の向上させていました。
しかし、このリサーチでは、以下の懸念も報告されています。
(1)この実験に参加した被験者は、皆、認知機能に衰えを感じている人々で、認知機能に全く問題がない人では結果が違うかもしれない
②実験は12週間という短い期間行われたもので、長期で行った場合、各グループの向上結果に著しい差が出ていたかもしれない
過去の研究によると、健康な高齢者は有酸素運動と高度な知的活動だけが認知機能を向上させるということが分かっていましたが、前述の研究結果では、いろいろなアクティビティは(たとえシンプルで、軽めであったとしても)、体と脳を活発にし、認知能力を向上させることが示されました。つまりライトエクササイズ(体の運動も、脳の運動も)であっても、テレビを見てじっとしているよりは良いということです。
もちろん、健康に問題や不安がある方は、新しいエクササイズを始める前にドクターに安全性を確認してください。
Let’s exercise our body and mind !
(米国医師会雑誌研究報告から) (次回は6月22日号掲載)
〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。