〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

I―9フォームに関する新しいヘルプシステム

皆様の中にはご存知の方もいらっしゃるでしょうが、I―9とは雇用主が労働者を雇用する際、米国市民かそうでないかに関わらず、移民改革規制法により、雇用主によって作成・保管されなければならない1枚の雇用資格確認フォームのことを言います。I―9の主な目的は、1986年11月6日以降に雇われた全従業員の就労資格と身元確認です。このI―9は監査請求がない限り移民局や労働局に提出する必要はない一方で、雇用主には管理・規則に則った一定期間の保管義務があります。
ただ、その記入方法および管理に関しては複雑な点が多く、インストラクション通りに実施しようとしても解釈が分かれることもあり、結局専門家に依頼することで、雇用主にとってはコストの掛かるものでもあります。
そのI―9管理に関し、最近移民局は今後、雇用主が適切にI―9管理を行えるよう、それを補助する“I―9 Central”と呼ばれる新しいサイトを立ち上げる予定です。I―9Centralは、I―9フォームの記入・管理方法ついての詳細なインストラクションです。その背景として、現在多くの雇用主がI―9フォームの記入および管理を正しく行っておらず、またその管理担当者へのトレーニングや準備についてもあまり重要視していないようです。そのため、ここ数年移民局は、これらの方法ついて様々な解説メモや69ページにも及ぶ“M?274 I―9ハンドブック”と呼ばれるマニュアルを提供してきました。ただ、それらが雇用主の手助けとなってきた一方で、よりシンプルで分かりやすいオンラインヘルプシステムが求められてきたのも事実です。
このI―9Centralに加えて、現在の移民局のサイト上からダウンロードできるPDF版のI―9フォームとその解説書についても、ヘルプテキストなどの便利な機能が加えられる予定です。この計画については、正式な施行日はまだ明確にはなっていませんが、まずは実験的にシステムを開始し、雇用者や弁護士事務所などの利用者に対してその利便性を確認することになるでしょう。
移民局はそのI―9フォームの管理の複雑さに理解を示す一方で、会社への強制監査および調査の姿勢に緩みはなく、一旦監査となれば、対象となった会社のI―9管理状況を詳しく確認し、正しく管理されていない場合は、罰金刑や刑事罰を課す可能性があります。この春からのこの便利なシステムに大きく期待しますが、企業側にとっては、現時点でも可能な限り正しくI―9管理を行うことはこれまでと変わることなく大変重要です。いつ自分の会社が監査対象となるか分かりません。(次回は7月9日号載)
(「WEEKLY Biz」2011年6月11日号載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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