〈コラム〉Dr. Clara Lee「歯のおはなし」9回

0

Help Me Doctor, My Teeth Are Blue!

助けて先生! 歯が青いんです!

歯医者になった理由の一つに、開業歯科医は生死を分ける救急状況に遭遇することがほとんどない、ということがあります。
◇  ◇  ◇
ある朝、フランスから国際電話が入りました。電話の主(患者さん)は長く診ている大学教授。とても温和な女性で毎夏、南仏に所有する別荘でゆっくり過ごすために、出発前には欠かさず歯のクリーニングとチェックアップを行います。数週間前のチェックアップでは何も問題は無かったのに、何があったんでしょうか?
彼女らしからぬとても慌てた様子で「Help me doctor, my teeth are blue(助けて先生! 歯が青いんです!)」。 ブルー? 今までたくさんの症例に接したり、文献を読んできましたが、患者さんの言う“ブルー”が何が原因なのか、いまひとつ飲み込めません。歯の痛みの有無、何か変わったものを飲食したのか、など質問をしたものの、手掛かりになるものはなく、取り合えず1回電話を切り、リサーチしてかけ直すと言いました。
20分くらいたってからでしょうか、またその患者さんから安堵と恥ずかしさが交じった声で電話がかかってきました。彼女によると、昨晩、隣人が持参した家庭菜園で収穫した大量のブルーベリーを味わいながら長くおしゃべりに講じ夜も更けて、歯を磨く気力もなくなりそのまま寝てしまった。そして、朝起きて、ブルーになった歯に仰天して電話をかけてしまったと。歯を磨いたらもちろん“ブルー”は消えたわけです。私たちは安堵(あんど)して笑いながら電話を切りました。
数日後、その患者さんからオフィスに届け物がありました。中を開けると、新鮮なブルーベリー。そして、添付されてたカードには「Dr. Leeどうもありがとう。おいしいブルーベリーを皆さんと召し上がってください。そして、食べたら必ず歯は磨きましょう!!」スタッフと愉快な気持ちになりながら、おいしくいただきました。
Dr.Leeからのコメント
歯は着色性の飲料(コーヒー、お茶、赤ワインなど)、食べ物(ブルーベリー、カレーなど)で色が付きます。ホワイトニングをされる方は、その間、これらを避けられた方が効果が出やすいので、覚えておくと良いでしょう。 (次回は7月9日掲載)(「WEEKLYBiz」2011年6月11日掲載)
〈プロフィル〉Dr. Clara Lee ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデンス修了。13年以上に及ぶ臨床経験は一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care院長として古山医師と共に、多くの日本人患者さんを治療。Dentistryをこよなく愛している。記事提供:Waterside dental Care(Tel:212-683-6260)

過去の一覧

Share.