〈コラム〉マラソンシリーズ2 HIITは短時間で長時間運動と同じ効果

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日本クリニック「医療の時間」第15診

前回(5月21日号)はマラソンの靴選びについて話しましたが、今回はマラソンで、より短い時間で高い結果を出すにはどういったエクササイズがより効果的かということについてお話したいと思います。今回紹介するトレーニング方法は、時間のないビジネスマンでも短い時間で長時間運動したのと同じ効果が得られる必見のトレーニング法です。
アメリカスポーツ医学大学の「第15回健康とフィットネスサミット」によると、高い効果を期待して運動する人には強いインターバルトレーニング(High Intensity In-terval Training:HIIT)を行うことを勧めています。HIITは代謝を高め、体重減少を加速させます。HIITを行うと、ゆっくり長距離トレーニングを行う時と比べて、多くのエネルギーを消費し、運動後の代謝が高くなります。
リサーチによるとHIIT1回につき、上限24時間カロリーを燃焼させ続けることができるとのことです。
HIITが長距離トレーニングと比べて優れている点は、短時間で同じ利益(脂肪燃焼、筋肉の増強、エネルギー消費量の増加、無酸素運動能力の向上)を得られるという点です。
さて、このHIITの方法ですが、まず二つの速度の運動に分けられます。簡単に言えば激しい運動と休みです。それらを一定の運動時間を決めて交互に行います。例えば、短距離走とウオーキングを組み合わせてもいいですし、自転車、スケート、ウエートリフティング、階段の上り下りなどでも代用できます。そして激しい運動:休みの運動時間の割合を最低1:1、可能なら3:1と激しい運動の比率を上げていくようにするといいでしょう。
ただこのトレーニング方法は誰にでも適応するというわけではありません。基本的にHIITは健康な成人から心臓病患者まで安全に行うことができますが、普通のエクササイズと比べて、けがのリスクは高くなります。このトレーニングを行う場合は安全に気をつけて、心配な人は医師に相談して行うようにしてください。
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それでは皆さん、夏本番です。安全に気をつけてマラソンを楽しみましょう!
(次回は7月16日号掲載)

drvitale〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。NY大学医学部卒業。NYU Harkness Center for Dance Injuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会(ACSM)、東京大学、ヨーロッパなどで講演を行う。

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