消費は企業に投票することである!?
駆け出しエディター愛の、ニューヨーク通信Vo.4
男女平等を求めて世界中で様々な取り組みが行われている近年。ニューヨーク女性起業家機関(WE)の調査によると、市内には約5000人以上もの女性起業家がおり、その人口は年々増え続けているという。だが一方で、発展途上国における男女格差は依然として厳しさが続いている。
ラップトップデザイナーから生理用パンツのデザイナーへ
生理用下着「Be Girl」は2014年、Diana Sierra(ダイアナ・シエラ)によって設立されたブランド。前職は日本の某大手IT企業でラップトップデザイナーとして働いていた彼女が、なぜ下着のデザインを開始したのか。それは彼女がたまたま訪れた「ウガンダ」で出会った少女達に関係する。
生理中に腹痛や吐き気に襲われ、イライラや不安など生理的に情緒不安定になる女性も多いが、ウガンダで暮らす少女達にはもっと深刻な問題があった。Dianaが初めてウガンダを訪れた時、生理を理由に学校を退学せざる終えない女学生に沢山出会った。彼女たちはナプキンなどの生理用品を手にすることが出来ず血が漏れてしまう心配から、学校を退学させられてしまう事もあるという。
「私は自分自身をとても恥じたわ。その事実を知った時、デザイナーとして何かするべきだと感じたの。」
同じ女性として、この事実の存在をこれまで知らずに暮らしてきたことをとても恥じたという。
ウガンダで出会った女の子達を救うことは出来ないだろうか。
この経験がラップトップデザイナーを辞めるきっかけとなった。その後、ダイアナは2014年に現在の「Be Girl」を設立。
すぐに、ナプキンの代わりに何度も洗って使いまわしの効く生理用パットの制作に取り掛かる。
「これで生理を理由に退学させられてしまう女の子達を救うことが出来る―。」
けれど事態はそんなに簡単ではなかったのだ。そもそも、パッドを当てはめる為の下着が不足しており、その時初めて下着という基本的な「生活用品」が無い、極限の物資不足を目の当たりにした。
彼女達を救えるのはナプキンではなく、ナプキンが必要のない「下着」そのものだ―。
そうして出来上がったのが現在の「Be Girl」の下着である。
Get one Give one キャンペーン
元々はウガンダのような発展途上国の女の子達を救う目的で制作された下着だが、より多くの結果を残すためには、ただのボランティアではなく、きちんとビジネスとして成り立たせる必要がある。同ブランドをより多くの人に周知させ、収益をしっかりと生み出すことが必要なのだ。
同社はそうした課題の解決策として、実にユニークな取り組みを行っている。
例えば同社のプロダクトを一つ購入することで、生理で悩む発展途上国の女の子へBe Girlの下着を届けることが出来る。これまで同社のこのプロジェクトによって届けられた下着は、23ヵ国、9,000以上の女の子達。現在はアメリカ全土でのオンライン販売になるが、将来的には日本でも同社の取り組みを広めたいという。
「私たちのミッションは、デザインの力ですべての女性にパワーを与えられるようにする事。今は生理用下着というプロダクトを通して活動を行っているけれど、最終的なゴールは下着という枠のみならず、あらゆる方向性から私たちのデザインの力で、すべての女性に権威を与える事。女性として生まれてきて良かった、女性であるという事に誇りをもって欲しい。Be Girlはそんな願いを込めて立ち上げたのよ。」
駆け出しエディター愛の、本日の学びポイント!
私たちひとりひとりが何かを購入する際に、例えばそれはどこの誰がどのようにして作ったのだろう、少しでも考える癖をつける事が必要な時代なのかもしれない。一人一人のちょっとした心がけこそ、少しづつだとしても、世界を変えていく事に繋がるのかもしれない。同じ女性としてとても勉強になった取材でした!
【Be Girl公式サイト】https://www.begirl.org/
【お問合せ先】
hello@begirl.org / 1(646)-580-0092
【プロフィール】
日置愛(ひおきあい)
ニューヨークビズ!新米駆け出しライター。週末の寂しさを埋める為、ファッションストリートスナップサイトをひそかに運営中。http://framenewyork.com/
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